「足首をひねってから、なかなか腫れが引かない」
「歩けるようにはなったけれど、痛みや違和感が残っている」
「骨折はないと言われたのに、このままで大丈夫か不安」
こんにちは。福井市のさくら通り整形外科クリニック、院長の宇賀治修平です。捻挫のあと、このようなお悩みはありませんか?
捻挫の腫れが引かないとき、大切なのは「何が腫れを長引かせているのか」を確かめることです。この記事では、捻挫のあと腫れが続く原因と確かめ方、治療全体の考え方、そして選択肢のひとつとして、炎症に関連する血管に着目した「動注療法(どうちゅうりょうほう)」についてお話しします。
監修:宇賀治 修平(さくら通り整形外科クリニック 院長・整形外科専門医)
なぜ捻挫で足首が腫れるのか
足首をひねると、関節を支える靱帯(じんたい)や周囲の組織が傷つき、炎症や出血によって腫れが生じます。腫れは、傷ついた組織を治そうとする体の反応の一部でもあります。
まず大切なのは、損傷の程度に合わせて足首を保護し、必要な固定やリハビリテーションを行うことです。腫れだけを抑えれば治療が完了するわけではありません。
靱帯の損傷や足首の不安定さが残っていると、再びひねったり、痛みが長引いたりすることがあります。腫れが引くまでの経過も、損傷の程度や、その後の過ごし方によって人それぞれです。
腫れが引かないときに考えられる原因
「レントゲンで骨折がなかったから大丈夫」と思っていても、靱帯だけでなく、軟骨や腱などに損傷が隠れている場合があります。捻挫のあと腫れが続くときには、たとえば次のようなことが関わっている可能性があります。
- 靱帯の損傷が大きい・足首の不安定さが残っている足首がぐらついた状態で歩くことで、関節に負担がかかり続けることがあります
- 軟骨の損傷ひねったときに、関節の表面の軟骨が傷つくことがあります
- 腱の損傷足首のまわりを通る腱が、靱帯と一緒に傷むことがあります
- レントゲンでは分かりにくい骨折小さな骨折や骨のかけらは、初めの検査で見つけにくいことがあります
- 早い時期の負担痛みが軽くなったあと、足首に負担をかけ続けている場合も腫れが長引くことがあります
見逃されやすい骨折については捻挫だと思ったら骨折だった|見逃されやすい4つの骨折、腫れの種類や、自分で見ておきたいポイントについては腫れが引かない足首|時間が経った腫脹の意味でくわしく説明しています。
※どれが当てはまるかは、診察と検査で確かめます。自己判断で「ただの捻挫」と決めつけないことが大切です。
腫れが長引く原因の確かめ方
症状が改善しないときは、診察に加えて、必要に応じて超音波検査やMRIなどで原因を調べます。治療を選ぶうえで大切なのは、「どこが傷んでいるのか」「何が症状を長引かせているのか」を確認することです。
- 問診
いつ、どのようにひねったか、その後どう過ごしてきたか、腫れや痛みがどう変わってきたかをうかがいます - 診察
腫れている場所、押して痛む場所、足首の動く範囲やぐらつきの程度を確かめます - レントゲン
骨折や、骨の位置関係を確認します - 超音波エコー
靱帯や腱、腫れの様子を、その場で画像を見ながら確認します - MRI(院内)
必要に応じて、軟骨や骨の内部、腱の状態を確認します
どの検査を行うかは、診察のうえで医師が判断します。結果は、画像をお見せしながらご説明します。
早めに受診してほしいサイン
- 体重をかけられないほど痛い、歩けない
- 骨を押すと強く痛む場所がある
- 日がたつにつれて、腫れや痛みがかえって強くなる
- 赤み・熱っぽさが強い、熱が出ている
- ふくらはぎまで腫れや痛みが広がる、しびれがある
※ふくらはぎの強い痛みや腫れ、息苦しさをともなう場合は、捻挫以外の原因も考えられるため、すぐに医療機関を受診してください。
院長の解説動画
捻挫を放置してはいけない理由——治療と再発予防の基本
過去の動画でも、捻挫の治療や再発予防について院長が解説しています。このあとの動注療法のお話とあわせて、足首の治療の基本を知るためにご覧ください。動画では手術にも触れていますが、当院では手術は行っておらず、必要な場合は連携する医療機関にご紹介します。
動注療法とは、どのような治療?
動注療法は、動脈から薬剤を注入し、炎症に関連する異常な細い血管、いわゆる「モヤモヤ血管」に働きかけることを目指す治療です。
ただし、動脈に直接薬剤を注入する方法と、カテーテルを進めて目的の血管を選択する塞栓術(そくせんじゅつ)では、手技や薬剤の届き方が異なります。研究結果を読むときも、同じ治療として一括りにしないことが大切です。
当院での動注療法
- 手首の動脈から、細い針(カテーテル)で薬剤を注入します
- 所要時間は5〜10分ほどで、日帰りで行います
- 切開はせず、傷は針穴だけです
- 自由診療(保険適用外)です
当院の動注療法のページでは、足底腱膜炎やアキレス腱炎などを対象の例として紹介しています。足首の捻挫のあと腫れや痛みが長引いている場合も、動注療法の対象になります。ただし、実際に治療を行うかどうかは、症状や経過、検査の結果をふまえて、医師が診察で判断します。
治療の流れや費用は、当院の動注療法のページでもご案内しています。
動注療法のしくみや、塞栓術との違い、研究からいえることは、足首の捻挫の腫れと動注療法|モヤモヤ血管に着目した治療の考え方(さくら通り整形外科クリニック)でくわしく解説しています。
捻挫の腫れにも効果があるのでしょうか?
外傷や手術のあとに続く慢性的な痛みに対して、血管塞栓術後の痛みや画像上の炎症所見の改善を報告した研究があります。(参考文献1)
しかし、これは患者さん6人を対象とした小規模な報告です。足関節の症例には追加の治療も行われており、改善のすべてを塞栓術の効果と判断することはできません。
長引く炎症性の症状に対して検討する余地はありますが、足関節捻挫の腫れに対する効果や適切な治療時期については、さらに検証が必要です。
参考文献
いずれも、動脈を塞ぐ塞栓術(TAE)などを調べた報告です。当院で行う動注療法とは手技が異なり、足関節捻挫の腫れを対象とした研究ではありません。治療の適否は、診察で医師が判断します。
- Huang ZR, Chen PY, Chiu NY, ほか. Transarterial Embolization for Chronic Postsurgical or Posttraumatic Pain of Musculoskeletal Origin: Clinical Outcomes and Imaging Correlates. Life (Basel). 2025;15(8):1208. PubMed
外傷や手術のあとに続く慢性的な痛みの6人に、塞栓術(TAE)を行った後ろ向きの報告。本文で紹介した研究 - Okuno Y, Matsumura N, Oguro S. Transcatheter arterial embolization using imipenem/cilastatin sodium for tendinopathy and enthesopathy refractory to nonsurgical management. J Vasc Interv Radiol. 2013;24(6):787-92. PubMed
保存療法で改善しない腱・腱付着部の痛みに対する、同じ薬剤(イミペネム・シラスタチン)を使った動脈内治療の初期の報告 - Gandhi R, Banker M. Early outcomes of transcatheter arterial embolization using imipenem/cilastatin for plantar fasciitis refractory to conservative therapy. Br J Radiol. 2024;97(1155):544-548. PubMed
足底腱膜炎の10人に対する報告。著者自身が、効果を確かめるにはきちんと計画された比較試験が必要としている - Kishore S, Sheira D, Malin ML, ほか. Transarterial Embolization for the Treatment of Chronic Musculoskeletal Pain: A Systematic Review of Indications, Safety, and Efficacy. ACR Open Rheumatol. 2022;4(3):209-217. PubMed
運動器の慢性的な痛みに対する塞栓術の研究をまとめた系統的レビュー
治療を検討する前に知っていただきたいこと
動注療法には、注射部位の出血や内出血、薬剤によるアレルギー、一時的な痛みの増強、血流障害などのリスクがあります。治療効果にも個人差があります。
主なリスク・副作用
- 注射部位の内出血・皮下出血
- 薬剤へのアレルギー反応
- 一時的な痛みの増強や、指先の色の変化
- まれに、血管の損傷・感染・血流障害
- 効果には個人差があり、改善しない場合があります
費用(税込・自由診療)
| 部位 | 1回目 | 2回目以降 |
|---|---|---|
| 片側 | 33,000円 | 22,000円 |
| 両側 | 66,000円 | 44,000円 |
- 自由診療(保険適用外)です。同じ日の保険診療との併用はできません
- 上記のほかに、初診料・再診料や超音波検査などの診察費用が別途かかります
- 医療費控除の対象となる場合があります
使用する薬剤について(未承認医薬品)
腫れが軽くなっても、治療は終わりではありません
腫れや痛みが軽くなっても、靱帯の修復や足首の安定性が十分に回復したとは限りません。再発予防には、可動域や筋力、バランス能力を取り戻すリハビリテーションが大切です。
腫れが引いたあとも大切なリハビリとセルフケア
捻挫の治療は、腫れや痛みだけでなく、その後の歩行やスポーツへの復帰まで見据えて進めることが大切です。
リハビリテーションで取り戻したいこと
- 可動域足首を曲げ伸ばしできる範囲を、少しずつ取り戻します
- 筋力足首を支えるふくらはぎやすねの外側の筋肉を鍛えます
- バランス能力片足で立つ、不安定な場所で体を支えるといった感覚を取り戻します
ご自身で気をつけたいこと
- 休むときは、足を少し高くしておく
- 固定やサポーターは、指示された期間・方法で使う
- 冷やし方や圧迫のしかたは、時期や状態に合わせて指示を受けてから行う
- 痛みや腫れが強くなる動きは、無理をして続けない
- 腫れが引いても、自己判断でリハビリをやめない
運動やスポーツの再開の時期は、足首の安定性や筋力の回復を確かめながら、医師・理学療法士と相談して決めましょう。
よくあるご質問
Q捻挫の腫れは、どのくらいで引きますか
A損傷の程度やその後の過ごし方によって異なり、一概にはいえません。日がたっても腫れが引かない、かえって強くなる、痛みや違和感が残るといった場合は、原因を確かめるために受診をおすすめします。
Qレントゲンで骨折はないと言われたのに、腫れが続きます
Aレントゲンでは、靱帯や軟骨、腱などのやわらかい組織の損傷は分かりにくいことがあります。必要に応じて、超音波エコーやMRIで確認します。
Q動注療法を受ければ、腫れは早く引きますか
A現時点では、「捻挫の腫れが動注療法ですぐに引く」とはいえません。足関節捻挫の腫れに対する効果や適切な治療時期については、さらに検証が必要です。足首の捻挫も対象になりますが、実際に治療を行うかどうかは、医師が診察で判断します。
Q動注療法に保険は使えますか
A使えません。自由診療(保険適用外)で、同じ日の保険診療との併用もできません。費用は上の表のとおりで、ほかに診察費用が別途かかります。
Q腫れが引いたら、運動を再開してもよいですか
A腫れが引いても、靱帯の修復や足首の安定性が十分に戻っているとは限りません。再開の時期は、足首の状態を確かめながら医師・理学療法士と相談して決めましょう。
まとめ|腫れが引かないときは、まず原因を調べましょう
足首の捻挫は、腫れや痛みだけでなく、その後の歩行やスポーツへの復帰まで見据えて治療することが大切です。動注療法についても、期待だけで選ぶのではなく、症状の原因、これまでの治療、効果の根拠とリスクを確認して判断しましょう。
- 捻挫の腫れは、靱帯や周囲の組織の炎症と出血から起こる
- 腫れが続くときは、軟骨や腱の損傷などが隠れていることがある
- 診察とエコー・MRIなどで、何が長引かせているかを確かめる
- 動注療法は選択肢のひとつ。捻挫の腫れへの効果はさらに検証が必要
- 腫れが引いたあとも、リハビリで再発を防ぐ
「捻挫だから仕方がない」と我慢せず、腫れや痛みが続く場合は整形外科にご相談ください。
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捻挫の腫れが引かない方は、まず原因を確かめることから始めましょう。
さくら通り整形外科クリニック(福井市日之出)/整形外科・リハビリテーション科
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- 超音波エコー/院内MRI
- 理学療法士によるリハビリテーション
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