捻挫の腫れが引かない足首|時間がたっても残る腫れの意味と受診の目安

腫れが引かない足首 ― 足首の捻挫治療の教科書 足関節捻挫
足首の捻挫腫れ・むくみ

「捻挫してからしばらくたつのに、くるぶしのまわりがまだ腫れている」

「痛みは減ってきたのに、腫れだけが引かない」

「夕方になると、捻った側の足首だけがパンパンになる」

捻挫のあとの腫れは、多くの場合、体が傷んだ組織を修復しようとする反応の一部です。ただ、長く残る腫れには、いくつかの種類があります。どのタイプの腫れなのか、そして良くなっている途中なのか、止まっているのかによって、考えることが変わります。

この記事では「腫れ」そのものに注目して、腫れの見分け方、経過の見方、早めに受診してほしいサイン、日常生活での過ごし方を整理します。

監修:宇賀治 修平(さくら通り整形外科クリニック 院長・整形外科専門医)

捻挫のあとに足首が腫れるしくみ

足首を捻ると、靭帯(骨と骨をつなぐ丈夫なひも状の組織)や、そのまわりの細い血管が傷つきます。傷ついた場所には血液や組織液(細胞のすき間にある水分)が集まり、これが腫れとして表れます。

腫れは、傷んだ組織を修復するために体が起こしている反応でもあります。受傷直後の腫れそのものは、異常なことではありません。

また、内出血が時間とともに重力で下へ移動し、数日たってから足の甲や指のあたりが紫色や黄色っぽく見えることがあります。これも捻挫のあとによく見られる経過のひとつです。

問題になるのは、時間がたっても腫れが引いていかない場合です。そのときは「なぜ残っているのか」を確かめる必要があります。

引かない腫れには種類がある

ひとことで「腫れ」といっても、どこに、どのようにたまっているかで性質が異なります。大きく分けると、次の3つのタイプがあります。

1.関節の中にたまる腫れ

足首の関節を包む袋(関節包)の中に水がたまる状態です。関節水腫(かんせつすいしゅ)と呼ばれます。くるぶしの前あたりがふっくらと盛り上がり、足首を動かしにくく感じることがあります。関節の中の組織(軟骨など)に負担や損傷があると起こりやすいとされています。

2.皮膚の下のむくみ

皮膚の下に水分がたまる状態で、浮腫(ふしゅ)とも呼ばれます。立っている時間や歩いた量に影響されやすく、朝は軽く、夕方に強くなる傾向があります。指で押すと、へこみがしばらく残ることがあります。

3.硬く、厚みのある腫れ

靭帯やそのまわりの組織が修復される過程で、組織が厚くなり、硬い盛り上がりとして残ることがあります。押してもへこみにくく、時間帯による変化が少ないのが特徴です。

足首の腫れの3つのタイプを並べた模式図。左は関節の中に水がたまった腫れ、中央は皮膚の下のむくみ、右は靭帯のまわりが硬く厚くなった腫れ
腫れの3つのタイプ(模式図)。左:関節の中の腫れ/中央:皮膚の下のむくみ/右:硬く厚みのある腫れ。実際には複数が重なっていることもあります
関節の中の腫れ皮膚の下のむくみ硬く厚みのある腫れ
腫れやすい場所くるぶしの前・関節のまわり足首全体・足の甲捻った靭帯のあたり(外くるぶしの前や下など)
触った感じふっくらと張っている柔らかく、押すとへこみが残ることがある硬く、押してもへこみにくい
時間帯による変化動いたあとに強くなることがある夕方に強く、朝は軽い傾向あまり変わらない

※実際には、複数のタイプが重なっていることも少なくありません。見た目や触った感じだけでは区別がつかないことも多いため、この表は目安としてご覧ください。

腫れが長引くときに考えられること

腫れが引かない背景として、次のようなことが考えられます。ここでは概要を挙げます。

  • 修復の途中傷んだ靭帯や組織が、まだ修復の過程にある
  • 負担の積み重ね仕事や生活で立つ・歩く時間が長く、修復中の足首に負担がかかり続けている
  • 関節の中の損傷軟骨など、関節の中の組織にも損傷が生じている
  • 見逃されていた骨折小さな骨折や、レントゲンで見つけにくい骨折がある
  • 不安定性足首がゆるんだ状態が残り、小さな捻りを繰り返している
  • 足首以外の原因心臓・腎臓・静脈など、全身や血管の病気によってむくみが出ている(両足がむくむ場合は特に)

腫れと一緒に痛みが長引いている場合は、捻挫から3週間以上たっても足首が痛いときで、考えられる原因をくわしく解説しています。足首がグラつく感じがある場合は、足首がグラつく・力が抜けるとき(慢性足関節不安定症)もあわせてご覧ください。

腫れは何ヶ月続くのか

「この腫れは、あと何ヶ月続くのか」というご質問はとても多いものです。ただ、腫れの引き方は、損傷の程度、年齢、仕事や生活で足にかかる負担、受傷直後の固定や安静の取り方などによって大きく変わります。そのため、一律に「何ヶ月で引く」とお伝えすることはできません。

また、痛みが落ち着いたあとも、夕方のむくみだけがしばらく残る時期があります。腫れは、痛みより遅れて引いていくことがあるためです。

期間よりも「変化の向き」を見る

何ヶ月たったかよりも大切なのは、腫れがどちらに向かっているかです。

  1. 少しずつ小さくなっている 修復が進んでいる途中と考えられます。無理をせず経過をみながら、気になる点があればご相談ください
  2. 横ばいで変わらない 修復が止まっている、または負担がかかり続けている可能性があります。一度、原因を確認することをおすすめします
  3. 大きくなっている・一度引いた腫れがまた出てきた 新たな損傷や、別の原因が加わっている可能性があります。早めに受診してください

自分で確かめられる観察のポイント

受診の際に、次のような情報があると、状態を確認する手がかりになります。日ごろから少し意識して見ておいてください。

  • 朝と夕方で、腫れの大きさが違うか
  • 指で数秒押したあと、へこみが残るか
  • 腫れているのはどこか(くるぶしの前・下・後ろ、足の甲、足首全体)
  • 反対側の足首と比べて、どのくらい差があるか
  • 熱っぽさや赤みがあるか
  • よく歩いた日と、休んだ日で違いがあるか
  • 腫れは小さくなってきているか、変わらないか、大きくなっているか

同じ時間帯・同じ角度で、両方の足首の写真をときどき撮っておくと、変化がわかりやすくなります。

朝と夕方

朝と夕方で足首の腫れを比べるイラスト

押してみる

腫れている部分を指で押して、へこみが残るかを見るイラスト

左右を比べる

椅子に座って左右の足首を見比べるイラスト

毎日同じ時間帯に見ると、変化がわかりやすくなります

腫れが横ばい、または大きくなっている方へ ― 観察だけで原因を決めることはできません。当院での確認のしかたを見る →

早めに受診してほしいサイン

次のような場合は、経過をみるのではなく、早めに医療機関を受診してください。

  • 腫れた部分が赤く、熱をもっていて、腫れや痛みが強くなっている。発熱がある
  • 腫れや痛みが、ふくらはぎのほうまで広がってきた(固定や安静で足を動かさない期間があったあとは特に)
  • 体重をかけられない、歩けない状態が続いている
  • 足先がしびれる、冷たい、色が青白いなど、色や感覚の変化がある
  • 一度引いた腫れが、また強くなってきた
  • 捻った側だけでなく、両足がむくんでいる

赤みや熱は感染、ふくらはぎの腫れは血管の病気(血栓など)が隠れているサインのことがあります。息苦しさや胸の痛みを伴う場合は、ためらわずに救急の受診をしてください。

日常生活でできること

ここで紹介するのは一般的な考え方です。状態によって合う・合わないがありますので、受診されている方は、担当の医師や理学療法士の指示を優先してください。

足を高くして休む

横になるときや座って休むときに、クッションなどを使って足を心臓より高い位置に置くと、たまった水分が戻りやすくなります。長時間立ちっぱなし・座りっぱなしが続く日は、休憩のときにこまめに取り入れてみてください。

ソファに横になり、重ねたクッションの上に足をのせて、足首を心臓より高い位置にして休んでいる女性
※ 写真はイメージです 横になるときは、足を心臓より高い位置に

圧迫は、指示を受けてから

弾性包帯やサポーターで圧迫すると、むくみが引きやすくなる場合があります。一方で、締めつけが強すぎたり、長時間つけっぱなしにしたりすると、かえって血行を妨げることがあります。圧迫の強さや時間は、自己判断ではなく相談のうえで決めてください。

動かすことと、休むことのバランス

足首をまったく動かさないでいると、筋肉による血液やリンパの流れが弱まり、むくみが残りやすくなることがあります。反対に、腫れが残っている時期に負担をかけすぎると、腫れが長引く原因になります。どのくらい動かしてよいかは損傷の状態によって異なるため、評価のうえでお伝えします。

強く揉まない

腫れているところを強く揉んだり、叩いたりするのは避けてください。修復中の組織に負担をかけることがあります。

当院での確認のしかた

当院では、腫れの種類と原因を、次のような観点で確認します。

問診

いつ、どのように捻ったか、受傷直後にどのような処置をしたか、腫れがどう変化してきたか、どんな場面で強くなるかをうかがいます。撮っておいた写真があれば、お見せください。

触診・徒手検査

腫れている場所、硬さ、押したときの痛み、関節のゆるみの有無と左右差を確認します。

超音波エコー

関節の中に水がたまっていないか、靭帯やそのまわりの組織がどのような状態かを、その場で観察します。

レントゲン/MRI

骨折の有無を確認し、必要に応じて院内のMRIで、骨の内部の損傷(骨挫傷)や軟骨の状態を確認します。

理学療法士による評価

足首の動く範囲、筋力、歩き方やバランスを確認し、腫れが残る背景に負担のかかり方の問題がないかをみます。

確認の結果、足首以外の原因(全身や血管の病気など)が疑われる場合は、適切な診療科や医療機関をご案内します。

なお、当院では手術は行っておりません。手術が必要と判断した場合は、連携する医療機関にご紹介します。紹介先で手術を受けたあとのリハビリテーションは、当院で継続していただけます。

よくあるご質問

Q痛みはほとんどないのに、腫れだけが残っています。受診したほうがよいですか

A腫れが少しずつ小さくなっているなら、修復の途中であることも考えられます。一方で、横ばいのまま変わらない、または大きくなっている場合は、関節の中の損傷など、痛み以外の形で問題が残っていることがあります。変化の向きを目安に、気になる場合は一度確認されることをおすすめします。

Q腫れが残っているうちは、運動をしてはいけませんか

A一律に禁止というわけではありませんが、腫れがあるということは、足首がまだ負担に十分耐えられない状態である可能性があります。どの程度の運動なら問題ないかは、損傷の状態によって異なります。評価のうえで、段階的な進め方をご提案します。

Qサポーターできつく締めたほうが、早く腫れが引きますか

A締めつけが強すぎると、かえって血行を妨げることがあります。圧迫が役立つ場合もありますが、強さやつける時間には注意が必要です。自己判断で強く締めるのではなく、ご相談ください。

Q何ヶ月も前の捻挫でも、診てもらえますか

Aはい。受傷からの期間にかかわらず、現在の腫れや症状をもとに確認します。受傷時の状況や、これまでの経過を覚えている範囲でお知らせください。

まとめ

  • 捻挫のあとの腫れは、体が組織を修復しようとする反応の一部
  • 長く残る腫れには、関節の中の腫れ・皮膚の下のむくみ・硬く厚みのある腫れなどの種類がある
  • 「何ヶ月たったか」よりも、腫れが小さくなっているか、変わらないか、大きくなっているかを見る
  • 赤み・熱・発熱、ふくらはぎへの広がり、息苦しさなどがあれば、早めに受診する
  • 足を高くして休むのは取り入れやすい方法。圧迫や運動の量は相談のうえで

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引かない腫れは、「どんな腫れか」と「どちらに向かっているか」を確かめることから始まります。

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この記事を執筆した人
宇賀治 修平 院長
宇賀治 修平
  • 医学博士
  • 日本整形外科学会整形外科専門医
  • 日本足の外科学会認定医
  • 日本スポーツ協会認定スポーツドクター
  • 日本骨粗鬆症学会認定医
  • 日本整形外科学会認定リハビリテーション医
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