「レントゲンで骨は大丈夫と言われたけれど、靭帯はどうなっているの?」
「エコー検査って、何がわかるの?」
「検査は痛くないのか、少し不安」
足首を捻ったとき、整形外科ではレントゲンとあわせて超音波エコー(ちょうおんぱエコー)で足首を確認することがあります。エコーは、レントゲンには写らない靭帯(じんたい)や腱(けん)など、やわらかい組織の様子を、その場で画面に映して観察できる検査です。
この記事では、足首の捻挫でエコーを使うと何がわかるのか、エコーならではの見かた、逆にエコーだけではわからないこと、検査を受けるときの流れを整理します。「どこまで見えて、どこからは別の検査が必要か」を知っておくと、検査の結果を聞くときの理解に役立ちます。
監修:宇賀治 修平(さくら通り整形外科クリニック 院長・整形外科専門医)
超音波エコーとはどんな検査か
超音波エコーは、耳には聞こえない高い音(超音波)を体に当て、はね返ってきた音を画像にする検査です。皮膚の上に「プローブ」と呼ばれる小さな機械を当てるだけで、皮膚の下の組織の様子が、画面にリアルタイムで映し出されます。
- 放射線を使わないレントゲンやCTのような被ばくがありません
- その場で見られる診察の流れの中で、すぐに確認できます
- 動きを見られる足首を動かしながら、組織の様子を観察できます
※検査を行うかどうか、どこを確認するかは、診察のうえで医師が判断します。
足首の捻挫でエコーで確認できること
足首の捻挫の多くは、足首を内側にひねって、外くるぶしのまわりの靭帯を傷めるけがです。エコーでは、次のような部分を確認することがあります。
外くるぶしの前の靭帯(前距腓靭帯)
外くるぶしと、その前にある距骨(きょこつ)という骨をつなぐ靭帯です。前距腓靭帯(ぜんきょひじんたい)といい、足首の捻挫で傷めやすい靭帯のひとつとされています。皮膚から近い位置にあるため、エコーで観察しやすい靭帯です。
外くるぶしの下の靭帯(踵腓靭帯)
外くるぶしとかかとの骨をつなぐ靭帯で、踵腓靭帯(しょうひじんたい)といいます。ひねり方が強い場合などに、前距腓靭帯とあわせて傷めることがあります。
すねの2本の骨をつなぐ靭帯・内側の靭帯
足首の少し上で、すねの2本の骨(脛骨と腓骨)をつなぐ靭帯や、内くるぶしの側の靭帯を傷めることもあります。痛む場所やひねり方によって、こうした靭帯も確認します。
靭帯のまわりの様子
エコーでは、靭帯が厚く腫れているか、線維の並びが乱れていないか、まわりに出血や腫れによる液体がたまっていないかなどを見ます。靭帯の付け根の骨の表面に、小さな骨のかけらがはがれていないかを確認することもあります。
外くるぶしの後ろを通る腱の状態を確認することもあります。外くるぶしの下や後ろの痛みについては、外くるぶしの下・後ろが痛いとき(腓骨筋腱障害)でくわしく説明しています。
※傷み具合の判断は、エコーの画像だけでなく、受傷時の状況、押して痛む場所、足首のぐらつきの程度などをあわせて医師が行います。
エコーならではの3つの見かた
エコーには、写真のように1枚を撮るレントゲンとは違う使い方があります。
- 動かしながら見る
足首をゆっくり動かしたり、軽く力を加えたりしながら、靭帯がどのように伸び縮みするか、関節のすき間がどう変わるかを観察できます - 左右を比べる
けがをしていない側の足首も同じように見て比べることで、もともとの形との違いを確かめやすくなります - 時間をおいて見直す
被ばくがないため、経過に合わせて、靭帯や腫れの様子を改めて確認することができます
受傷直後は腫れや痛みが強く、足首を十分に動かせないことがあります。どの時期に、どの見かたで確認するかは、足首の状態に合わせて決めます。
エコーだけではわからないこと
エコーは便利な検査ですが、すべてを見通せるわけではありません。次のようなことは、エコーだけでは確認しにくいとされています。
- 骨の内部超音波は骨の表面ではね返るため、骨の中の様子は見えません
- 関節の奥や軟骨関節の深いところや、骨の表面をおおう軟骨(なんこつ)の傷みは、評価しにくい部分があります
- 骨折の全体像骨折の有無や形の確認には、レントゲンが基本になります
また、エコーは検査をする人が、プローブを当てる位置や角度を調整しながら画像をつくる検査です。そのため、診察の内容とあわせて判断することが大切です。
当院では、必要に応じてレントゲンや院内のMRIを組み合わせて確認します。どの検査が必要かは、診察のうえで医師が判断します。捻挫だと思っていたら骨折が見つかる場合については、捻挫だと思ったら骨折だった|見逃されやすい4つの骨折で説明しています。
エコー検査の受け方
足首のエコー検査は、診察室で行います。一般的な流れは次のとおりです。
- 足首を出す
靴と靴下を脱ぎ、ズボンのすそをひざ下までまくります。すそが広めのズボンだと準備がスムーズです - ゼリーを塗ってプローブを当てる
超音波を通しやすくするため、足首に透明なゼリーを塗り、プローブを当てて観察します。ゼリーは少しひんやりします - 必要に応じて足首を動かす
足首の向きを変えたり、ゆっくり動かしたりしながら確認します - ゼリーをふき取る
検査が終わったら、ゼリーをふき取ります
痛みはありますか
エコー検査そのものに痛みはありません。ただ、傷めたところにプローブを当てたり、足首を動かしたりすると、痛みが響くことがあります。つらいときは、がまんせずにその場でお伝えください。
費用について
捻挫の診察で医師が必要と判断して行うエコー検査は、公的医療保険の対象です。窓口でのお支払いは、保険の自己負担割合によって変わります。
検査の結果をどう生かすか
エコーで確認した靭帯の状態は、診察の内容とあわせて、その後の対応を考える材料になります。たとえば、次のようなことを決めるときの手がかりになります。
- 足首を固定するかどうか、どのような方法で固定するか
- リハビリテーションをいつ、どのように始めるか
- 仕事やスポーツへの戻り方をどう考えるか
- レントゲンやMRIなど、ほかの検査が必要かどうか
足首の捻挫の多くは、固定やリハビリテーションなど、手術以外の方法(保存療法)から始めます。靭帯の傷み具合や足首のぐらつきの程度によっては、手術が選択肢になることもあります。
なお、当院では手術は行っておりません。手術が必要と判断した場合は、連携する医療機関にご紹介します。紹介先で手術を受けたあとのリハビリテーションは、当院で継続していただけます。
よくあるご質問
Qレントゲンで「骨に異常はない」と言われました。靭帯は大丈夫ですか
A靭帯はレントゲンには写りません。「骨に異常がない」ことは、靭帯が傷んでいないことを意味するわけではありません。痛みや腫れ、ぐらつきが続く場合は、エコーなどで靭帯の状態を確認することがあります。
Qエコーで靭帯が傷んでいると言われたら、手術になりますか
A靭帯が傷んでいても、すぐに手術になるとは限りません。足首の捻挫の多くは、固定やリハビリテーションなどの保存療法から始めます。治療の方針は、検査の結果と足首の状態をあわせて医師がご説明します。
Q何年も前の捻挫でも、エコーで靭帯を見てもらえますか
Aはい、ご相談いただけます。昔の捻挫のあとに足首のぐらつきや違和感が続いている場合、靭帯の状態を確認することがあります。足首のぐらつきについては、足首がグラつく・力が抜けるとき(慢性足関節不安定症)もご覧ください。
Qエコー検査の日は、どんな服装で行けばよいですか
Aひざ下までまくりやすい、すそが広めのズボンがおすすめです。ストッキングやタイツの場合は、検査の前に脱いでいただくことがあります。
まとめ
- エコーは、レントゲンに写らない靭帯や腱を、その場で観察できる検査
- 動かしながら見る・左右を比べる・時間をおいて見直す、といった使い方ができる
- 骨の内部や関節の奥は見えにくいため、必要に応じてレントゲンやMRIを組み合わせる
- 検査は診察室で行い、被ばくはない
- 結果は診察とあわせて、固定やリハビリの方針を考える材料にする
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捻った足首の状態は、診察と検査で確かめることから始まります。
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