外くるぶしの下・後ろが痛い|捻挫のあとに起こる腓骨筋腱の痛みとは

外くるぶしの下・後ろが痛い ― くるぶしを通る腱の痛み(公園のベンチで足首の外側を気にする男性) 捻挫でよくある誤解
足首の捻挫部位別:外くるぶしの下・後ろ

「捻挫のあと、外くるぶしの下がずっと痛い」

「外くるぶしの後ろが腫れぼったくて、押すと痛い」

「歩いていると、くるぶしの後ろで何かが動く感じがする」

足首の外側が痛むとき、多くの方は「靭帯(じんたい)を傷めたのだろう」と考えます。けれども、痛む場所が外くるぶしの「下」や「後ろ」の場合は、靭帯ではなく、そこを通る「腓骨筋腱(ひこつきんけん)」という腱が関わっていることがあります。

この記事では、外くるぶしの下・後ろの痛みに絞って、腓骨筋腱のはたらき、捻挫のあとに痛みやすい理由、痛みが出やすい場面、ほかに考えられる原因、受診の目安、当院での確認のしかたを整理します。

監修:宇賀治 修平(さくら通り整形外科クリニック 院長・整形外科専門医)

痛むのは外くるぶしのどこですか

ひとくちに「足首の外側が痛い」といっても、外くるぶしの前なのか、下や後ろなのかで、考えられる原因が変わります。まずは、痛む場所を指で確かめてみてください。

外くるぶし(外側の出っぱった骨)のすぐ後ろから、下を回りこむあたりに、押すと痛いところや腫れぼったさがある場合、そこを通る腓骨筋腱に負担がかかっている可能性があります。

外くるぶしのすぐ後ろから下のあたりに指を当てて、痛む場所を確かめている足首と手元
※ 写真はイメージです 外くるぶしのすぐ後ろから下にかけてが、腓骨筋腱の通り道です

※痛む場所だけで原因を決めることはできません。受診のときに症状を伝えるための手がかりとしてお使いください。

腓骨筋腱とは

腓骨筋(ひこつきん)は、すねの外側にある筋肉です。この筋肉は足首の近くで腱(筋肉と骨をつなぐ、ひも状の丈夫な組織)になり、外くるぶしの後ろを通って、下を回りこみ、足の外側や足の裏へ向かいます。長腓骨筋腱と短腓骨筋腱の2本が、並んで通っています。

外くるぶし腓骨筋腱つま先かかと
腓骨筋腱の通り道(模式図・右足を外側から)。2本の腱が、外くるぶしの後ろから下を回って足先へ向かいます

腓骨筋腱には、おもに次のようなはたらきがあります。

  • 足を外へ返す足の裏を外側へ向ける動きをつくる
  • 内側へ捻るのを防ぐ足首が内側へ倒れそうになったときに、踏んばって支える
  • 不安定な地面で支えるでこぼこ道や片足立ちで、足首のバランスを保つ

外くるぶしの後ろでは、腱が骨のみぞに沿って向きを変えます。腱が外れないよう、上から帯のような組織(支帯:したい)が押さえています。向きを変える場所は、腱に負担が集まりやすい場所でもあります。

捻挫のあとに腓骨筋腱が痛む理由

足首を内側に捻ると、外くるぶしの前や下にある靭帯だけでなく、内側へ倒れるのを止めようとする腓骨筋腱にも、強い力がかかります。捻挫のあとに起こる腓骨筋腱の不調は、大きく次の3つに分けて説明されます。

1.腱や、腱を包むさやの炎症

腱そのものや、腱を包むさや(腱鞘:けんしょう)に炎症が起きている状態です。外くるぶしの後ろから下にかけて、腫れぼったさや押したときの痛みが出ます。捻挫のあとに足首のゆるみが残り、腓骨筋が足首を支えようと働き続けることが、負担の一因になると考えられています。

2.腱の傷

腱に、縦方向の裂け目などの傷ができている状態です。外くるぶしの後ろで骨に押しつけられる短腓骨筋腱に起こることが知られています。炎症との区別は、見た目や症状だけでは難しいことがあります。

3.腱が外くるぶしを乗り越える(腱の脱臼)

腱を押さえている支帯が傷むと、足首を動かしたときに、腱が外くるぶしの後ろのみぞから前へ外れることがあります。「コクッ」と何かが動く感じや、弾かれるような感じとして自覚されることがあります。

※これらは重なって起こることもあります。どの状態にあたるかは、診察と画像検査で確認します。

足首がグラつく感じもある場合は、足首がグラつく・力が抜けるとき(慢性足関節不安定症)もあわせてご覧ください。

痛みが出やすい場面

腓骨筋腱は、足首を支えるために踏んばる場面でよく働きます。次のような場面で当てはまるものがないか、振り返ってみてください。

砂利と土のでこぼこした散歩道を歩いている人の足元
※ 写真はイメージです でこぼこした地面では、足首を支えるために腓骨筋腱がよく働きます
  • 砂利道や芝生など、でこぼこした地面を歩くと外くるぶしの後ろが痛む
  • 歩き始めや、長く歩いたあとに外くるぶしの下が痛む
  • つま先立ちや階段の上り下りで外側が痛む
  • 方向転換や横への動きで外側が痛む
  • 足首を動かすと、外くるぶしの後ろで腱が動く・弾かれる感じがする
  • 外くるぶしの後ろから下が腫れぼったい、押すと痛い

※このチェックは、受診のときに症状を伝えるための目安です。当てはまる数で腓骨筋腱の不調かどうかを判断できるものではありません。

足首の外側が痛むほかの原因

捻挫のあとに足首の外側が痛む原因は、腓骨筋腱だけではありません。痛む場所は、原因を考えるときの手がかりのひとつになります。

123つま先かかと
痛む場所の目安(模式図・右足を外側から)。実際には重なっていることもあります
  • 1外くるぶしの前捻挫で傷めやすい靭帯がある場所です。靭帯の損傷が残っていると、この付近に痛みが続くことがあります
  • 2外くるぶしの後ろから下腓骨筋腱が通る場所です。この記事で取り上げている痛みです
  • 3足の外側の出っぱり足の甲の外側にある骨(第5中足骨)のつけ根で、短腓骨筋腱がつく場所です。捻挫と同じ捻り方で、ここが骨折することがあります

このほか、外くるぶしの骨そのものの骨折や、かかとの骨と距骨(きょこつ)の間の関節の痛み、神経が関わる痛みなども考えられます。似た場所に痛みが出るため、ご自身で見分けるのは難しいものです。捻挫と同じ捻り方で起こる骨折については、捻挫だと思ったら骨折だった|見逃されやすい4つの骨折と確認のしかたで解説しています。

捻挫のあとの長引く痛み全体については、捻挫から3週間以上たっても足首が痛いときで、考えられる原因をまとめています。足首の前側が痛む場合は、捻挫のあと足首の「前」が痛むときをご覧ください。

受診を考えてほしい目安

次のような場合は、一度、整形外科で原因を確認することをおすすめします。

  • 捻挫から数週間たっても、外くるぶしの下や後ろの痛みが続いている
  • 外くるぶしの後ろの腫れが引かない
  • 足首を動かすと、腱が外れる・弾かれる感じがある
  • スポーツや仕事に戻ると、外側の痛みがぶり返す
  • 足の外側の出っぱりを押すと強く痛む

体重をかけられない、腫れや痛みが急に強くなった、赤みや熱をもっているといった場合は、様子をみずに早めに受診してください。

腱の痛みか、ほかの原因かは、診察と画像検査で確かめます

上の目安に当てはまる方は、一度ご相談ください。

お電話でのご予約は 0776-58-7138

当院での確認のしかた

当院では、外くるぶしの下・後ろの痛みについて、次のような観点で確認します。

問診

いつ、どのように捻ったか、どの場面で痛むか、腱が動く感じがあるか、スポーツや仕事の内容、これまでの捻挫の回数などをうかがいます。

触診・徒手検査

押して痛む場所、足を外へ返す力を入れたときの痛み、足首を動かしたときに腱が外くるぶしを乗り越えないか、関節のゆるみの有無を確認します。

超音波エコー

腱やそのまわりの状態を、その場で観察します。足首を動かしながら見ることができるため、腱の動き方を確かめるのに役立ちます。

超音波エコーのプローブにゼリーをのせて、検査の準備をしている手元
※ 写真はイメージです 超音波エコーでは、足首を動かしながら腱の様子を観察できます

レントゲン/MRI

レントゲンで骨折の有無を確認します。必要に応じて院内のMRIで、腱や靭帯、軟骨の状態をくわしく確認します。

理学療法士による評価

足首の動く範囲、足を外へ返す筋力、片足立ちでのバランス、歩き方や靴底のすり減り方を確認し、腓骨筋腱に負担が集まる動き方になっていないかをみます。

治療の考え方

治療の内容は、腱の状態、症状の強さ、スポーツや仕事の状況によって変わります。診察と検査の結果をふまえて、医師がご説明します。一般的には、まず手術以外の方法(保存療法)から始めます。

  1. 負担の調整 痛みが出る動作や運動量を一時的に見直し、腱への刺激を減らします
  2. 固定・サポーターなど 状態に応じて、一時的な固定や、サポーター・テーピングの使用を医師の判断で検討します
  3. 薬など 症状に応じて、炎症や痛みをおさえる薬を医師の判断で検討します
  4. リハビリテーション 理学療法士が、足首の動きや筋力、バランス、動作のくせを評価し、状態に合わせた運動を段階的に行います。足首のゆるみがある場合は、その対応もあわせて行います
  5. 靴・インソールなどの調整 足の外側にかかる負担を考えて、靴やインソール(中敷き)の調整を検討することがあります
リハビリ室で、ゴムバンドを足にかけて足先を外へ開く運動をしている足元と、そばで見ている理学療法士の手元
※ 写真はイメージです 運動の内容は、状態を評価したうえで一人ひとりに合わせて決めます

保存療法を続けても症状が変わらない場合や、腱が繰り返し外れる場合、腱の傷が大きい場合には、手術が選択肢になることがあります。

なお、当院では手術は行っておりません。手術が必要と判断した場合は、連携する医療機関にご紹介します。紹介先で手術を受けたあとのリハビリテーションは、当院で継続していただけます。

日常生活で気をつけたいこと

ここで紹介するのは一般的な考え方です。受診されている方は、担当の医師や理学療法士の指示を優先してください。

でこぼこした地面や長歩きを控えめに

痛みがある時期は、砂利道や傾いた路面、長時間の歩行で腱に負担がかかりやすくなります。痛みが強まる場面を、しばらく減らしてみてください。

靴底のすり減り方を見てみる

かかとの外側が大きくすり減った靴は、足が外側へ傾きやすくなることがあります。受診の際に、ふだん履いている靴をお持ちいただくと、評価の手がかりになります。

スニーカーを裏返して、靴底のかかとの外側のすり減り方を確かめている手元
※ 写真はイメージです ふだん履いている靴の底は、足の使い方を知る手がかりになります

強く揉む・無理に伸ばすことは避ける

外くるぶしの後ろを強く揉んだり、痛みをがまんして足首を伸ばし続けたりすると、腱への刺激が続くことがあります。どのような運動が合うかは、評価のうえでお伝えします。

よくあるご質問

Q外くるぶしの後ろで「コクッ」と音がします。受診したほうがよいですか

A音や動く感じがあっても、痛みや腫れがなければ経過をみることもあります。ただ、痛みを伴う場合や、腱が外くるぶしを乗り越えるような感じが繰り返される場合は、腱を押さえる組織が傷んでいることがあります。一度確認されることをおすすめします。

Qレントゲンで「骨に異常はない」と言われましたが、外側の痛みが続いています

A腱やそのまわりの組織は、レントゲンには写りません。症状が続く場合は、診察や、超音波エコー・MRIなどの検査をあわせて確認することがあります。

Qサポーターをしていれば、運動を続けてもよいですか

Aサポーターが役立つ場合もありますが、腱の状態によっては、運動の内容や量を見直したほうがよいことがあります。痛みをがまんして続けるかどうかは、自己判断せずにご相談ください。

Q何年も前の捻挫が関係していることはありますか

A以前の捻挫や、捻挫のあとに残った足首のゆるみが関わっていることはあります。ただ、足首の外側の痛みには別の原因もあるため、現在の症状をもとに確認します。覚えている範囲で、これまでの経過をお知らせください。

まとめ

  • 外くるぶしの下・後ろの痛みには、そこを通る腓骨筋腱が関わっていることがある
  • 捻挫のあとの不調は、炎症・腱の傷・腱の脱臼の3つに分けて説明される
  • でこぼこ道や方向転換など、足首を支えて踏んばる場面で痛みが出やすい
  • 外側の痛みには、靭帯の損傷や骨折などほかの原因もある
  • 治療はまず保存療法から。手術が必要と判断した場合は、連携する医療機関にご紹介する

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外くるぶしの下・後ろの痛みは、腱なのか、ほかの原因なのかを確かめることから始まります。

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この記事を執筆した人
宇賀治 修平 院長
宇賀治 修平
  • 医学博士
  • 日本整形外科学会整形外科専門医
  • 日本足の外科学会認定医
  • 日本スポーツ協会認定スポーツドクター
  • 日本骨粗鬆症学会認定医
  • 日本整形外科学会認定リハビリテーション医
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