【ジャンプのつもりが、着地ミス!?】足首が語るバスケの裏あるある

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うがじ流・人生の処方箋 ~言葉の力~

こんにちは。さくら通り整形外科クリニック院長の宇賀治修平です。
先日、リハビリ室で患者さんが隣同士で小声で話しているのを聞きました。
ひとりが「ねえ、先生に『ありがとう』って言ったら顔がほころんでたよ」と教えてくれたんです。

もうひとりが「私も朝スタッフに『おはようございます』って元気に言ったら、受付の子がすごく明るく返してくれて、気分が上がったんだよね」と続けていました。

小さな一言が、その場の空気をパッと変える——まさに言葉の力を実感した瞬間でした。
リハビリや通院って、どうしても前向きになりにくい時もありますよね。
だからこそ、何気ない一言の温かさが、じわっと心にしみるんだと思います。

みなさんもぜひ、周りの人にちょっとした「前向きな言葉」をかけてみてください。
きっと、相手だけでなく、自分自身の気持ちも少し軽くなるはずです。

なぜバスケットボールで足首の捻挫が多いのか?

毎日の診療のなかで、「先生、またやっちゃいました…」という声をよく耳にします。
バスケットボールに取り組んでいる患者さんたちから聞く、足首の捻挫についてのお話です。

実は、バスケ選手にとって足首の捻挫は“つきもの”のように思われがちですが、きちんとケアしないと再発を繰り返しやすくなる、要注意なケガなんです。

今回は、患者さんたちの生の声を交えながら、なぜバスケットボールで捻挫が多いのかを、わかりやすくご紹介していきます。

リバウンドで着地ミス「避けようがなかったです…」

「試合中、リバウンドでジャンプしたあとに、相手の足の上に着地しちゃって…。避けようがなかったです」

その患者さんはそのままプレーを続けましたが、翌日には足首が腫れて歩くのもつらい状態に。

バスケットボールでは、1試合中に何十回とジャンプと着地を繰り返します。
リバウンド、ブロック、シュート…。特に混戦時には相手選手の足元に降りてしまうリスクが高く、無意識のうちに捻挫してしまう選手が本当に多いのです。

切り返しで「足がついてこなかった」

「ディフェンスでサイドに動いたとき、床にシューズが引っかかって…なんか変な感じでひねっちゃいました。足がついてこなかった感じです」

バスケは方向転換や急停止・再加速が非常に多く、床との摩擦が強い体育館ではシューズのグリップが強すぎて足がもつれるように感じることもあります。
その結果、足首がねじれて負担が集中し、捻挫へとつながります。

スクリーンで体勢崩れ「グラッときた瞬間に」

「スクリーンを仕掛けた選手にぶつかって、体勢がちょっと崩れて。グラッときた瞬間に、もう足首が持っていかれてました」

バスケットボールは見た目以上に接触の多い競技です。
リバウンドやスクリーン、ディフェンスのぶつかり合い…。体のバランスがわずかに崩れるだけで、片足に全体重がかかり、足首をひねる事故が起きます。

「痛いけど…出たかったから我慢しました」

ちょっと痛かったけど、ベンチに下がりたくなくて…。我慢して最後まで出たら、次の日全然歩けなくなっちゃって

試合中はアドレナリンが出ているため、本来なら感じるはずの痛みが軽く感じてしまうことがあります。
だからこそ、「いける」と思って無理してしまい、症状を悪化させる選手が後を絶ちません。

成長期ならではの「なんかグラグラする感覚」

中学生の子が、「最近なんか足元がグラグラする感じがして、踏ん張りがきかない」と話していました。
診察してみると、筋力の発達が骨の成長に追いついていないことが原因でした。

成長期の子どもたちは、骨が急激に伸びて関節が不安定になる時期です。
そのため、わずかな疲労やズレで捻挫を起こしやすくなるのです。

【リハビリ】プレー復帰までの“正しい道のり”


痛みが引いたから部活に戻ったんですけど、すぐまたひねっちゃって…
その方は「もう大丈夫」と自己判断で練習に復帰したものの、数日後に再度同じ足首を捻ってしまいました。

これは、決して珍しい話ではありません
むしろ「痛みがなくなった=治った」と思い込み、リハビリを十分に行わずに復帰してしまうケースは非常に多いのです。

でも、足首の捻挫は「痛みがなくなってからが本番」。
本当の意味での回復には、筋力・可動域・バランス感覚(固有感覚)の回復が必要です。

炎症期(0〜3日)

・痛みと腫れを抑えるために、安静+アイシング+圧迫+挙上(RICE処置)
・この時期は「動かさないこと」が大切です。

修復期(3日〜2週間)

・痛みが軽くなったら、徐々に足首を動かしていく
・関節の可動域を広げるストレッチ、足首回し、タオルギャザーなどの運動を開始
・必要に応じてサポーターで軽く固定しながら、荷重練習を始める

回復期(2〜4週間)

・ふくらはぎや足底、足関節を支える筋肉の筋力トレーニング(カーフレイズ、チューブを使った抵抗運動など)
・片脚立ちやバランスボードを使って、固有感覚の回復トレーニング
・ジャンプ→着地動作や、サイドステップ・ピボットなどバスケ特有の動作を段階的に再現

復帰判断

・足首の可動域が左右差なく、筋力もある程度戻っている
・ジャンプや方向転換をしても不安感や痛みがない
・片脚でのバランスが問題なくとれる(目を閉じて10秒以上静止できる)

これらの条件をクリアして、ようやく「競技復帰OK」のサインが出せます

患者さんの中には「思ったより長いですね」と驚かれる方もいますが、中途半端な回復で復帰してしまうと、再び同じ場所を痛めるリスクがぐんと上がるのです。

焦らず、じっくり取り組むことで、再発を防ぎながら安心してプレーに戻ることができます。

【再発予防】「またやるのが怖いんです…」

「もう一度ひねったらどうしようって、ジャンプするのがちょっと怖くて…」

足首の捻挫は再発率が非常に高いケガです。
一度でも靱帯を伸ばしてしまうと、その後の関節がやや不安定になり、バランス感覚も鈍くなってしまいます。

実際、1回捻挫をすると、1年以内に再び捻挫する確率は約30〜40%とも言われています。

だからこそ、「痛みがなくなったあと」の行動がとても重要です。

再発を防ぐ3つの習慣

ウォーミングアップとストレッチ

「ストレッチはやってます」と言う患者さんでも、よくよく聞くと“形だけ”になっていることが多いです。
動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ)を取り入れることで、筋肉と関節がプレーに備えた状態になります。

  • アキレス腱、ふくらはぎ、足底筋膜をしっかり伸ばす
  • 足首の前後・左右・回旋の動きで可動域をチェック
  • 軽いジャンプやスキップで神経系にも刺激を入れる

バランストレーニング

足首の安定性は、筋力だけでなく“感覚の鋭さ”もカギを握っています。
特に再発予防には「固有感覚」の回復が欠かせません。

おすすめは:

  • 片脚立ち(目を閉じて10秒以上静止できるか)
  • バランスボードで前後左右に重心を動かす
  • トランポリンや不安定マットでの着地練習

少しの時間でも、毎日継続することが大切です。
「気づいたら階段を下りるのが怖くなくなってました」という声もよく聞きます。

テーピング・サポーターの正しい使い方

不安があるときにサポーターを使うのは正しい選択です。
ただし、「ずっと巻いている」「テーピングがないと不安」という状態では、身体が頼り切りになってしまうため、徐々に卒業する意識も大切です。

  • 試合や練習強度が高い日だけ使用
  • 普段はサポーターなしで筋肉と感覚を育てる
  • 巻き方がわからない場合は、医療スタッフに教わる

「足首の捻挫をしてから、自分の体のことをもっと知ろうと思うようになりました」
そう話してくれた患者さんがいました。

ケガをして気づくこと、ケガをきっかけに成長できることも、きっとたくさんあります。

再発予防は、ただの対策ではありません。
それは、「また本気でプレーできるようになるための準備」であり、「自分の体と向き合う時間」でもあるのです。

最後に!!「きちんと治す」もプレーの一部です

患者さんたちの話を聞いていると、「ちゃんと治して戻ってきたい」という前向きな気持ちがとても伝わってきます。

足首の捻挫は軽く見られがちですが、繰り返せば繰り返すほど、パフォーマンスに影響が出るケガです。

「試合に出ること」と「自分の体を大切にすること」は、決して相反するものではありません。
長くバスケを楽しむためにも、早めの対処・丁寧なリハビリ・日常的な予防が、あなたの足首を守ってくれます。

私たちも、全力でサポートしていきますね。

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