【日常でできる足首トレーニング③】片脚バランス練習編
このシリーズでは、ご自宅や職場で気軽に取り入れていただける「足首を守るためのトレーニング」を全4回にわたってご紹介しています。
第1回は段差カーフレイズで“ふくらはぎという土台づくり”。
第2回はタオルギャザーで“足裏のアーチ作り”。
そして今回の第3回は、捻挫予防において欠かすことのできない『片脚バランス練習』を深掘りしていきます。
片脚バランス練習は「足首のセンサー」を鍛える最強トレーニング
足首には、“自分の身体が今どこにあるか”を感じ取る固有受容器(センサー)が存在します。
このセンサーがしっかり働くからこそ、
といった「瞬間的なバランス調整」が可能になります。
しかしこのセンサー、ケガ(捻挫)をすると働きが低下してしまいます。
例えば、捻挫をして靭帯が伸びたり損傷すると、靭帯にある感覚受容器もダメージを受けます。すると、足首の位置や角度を脳に伝える力が弱まり、
という悪循環が起きます。
つまり、片脚バランス練習は、「捻挫を繰り返す人が必ずやるべきトレーニング」なのです。
片脚バランス練習で得られる驚くほど多い効果
片脚立ちは地味な運動に見えますが、じつは足首のほか全身へ効果が及びます。
特にバスケ・サッカー・テニス・バレーボールなどをされている方には、片脚バランス練習は絶対に取り入れてほしいメニューです。
正しい片脚バランス練習のやり方

- 足幅を肩幅にして真っ直ぐ立つ
背筋を伸ばし、両肩の力を抜きます。 - 片脚を軽く持ち上げる(5〜10cmでOK)
膝は軽く曲げて問題ありません。ポイントは「無理に高く上げない」こと。 - そのまま30秒キープ
フラついたら体勢を戻し、深呼吸しながら再チャレンジ。 - 左右2〜3セット
さらに効果を高めるコツ
- お腹(腹横筋)に軽く力を入れる → 全身が安定しやすい
- 目線は動かさない → 体の揺れが減る
- 足指で地面を“つかむ”イメージ → 足裏アーチが働きやすい
片脚バランス練習は「進化」させることでさらに強くなる
最初は「30秒立つのがやっと」という方でも、慣れてくると簡単に感じるようになります。そこで重要なのが、少しずつ難易度を上げること。
初級:普通の床で30秒 × 2セット
まずはこのステップから。痛みが出なければ次へ。
中級:目を閉じる(10〜20秒)
視覚情報がなくなるため、足首のセンサーが一気に働き出します。ぐらついてもOK、むしろそれが効果の証です。
上級:不安定な床で行う(クッション・バランスパッド)
リハビリやスポーツの現場でも定番。より高度なバランス能力が身につくため、捻挫予防効果が大きく高まります。
アスリート向け:左右動作・ジャンプ着地を加える
- 横方向ステップ → 片脚着地
- 軽いジャンプ → 片脚着地
- 方向転換 → 片脚でこらえる
これらはスポーツ動作そのものであり、捻挫の再発予防には非常に効果的です。
「捻挫後のリハビリ」に絶対欠かせない理由
理由①:靭帯のダメージは「感覚の鈍り」を生む
捻挫では靭帯が伸びたり傷つくため、その中にある感覚受容器も損傷します。これにより、足首の角度を脳に伝える力が弱まります。
理由②:感覚トレーニングをしないと再発しやすい
靭帯の感覚を補うには、筋肉とバランス能力でカバーするしかありません。そのためには片脚バランス練習が必須になります。
理由③:スポーツ復帰の最終チェックになる
- 片脚バランス30秒(視覚あり)
- 目を閉じて10秒
- 軽いジャンプ → 片脚着地がスムーズ
これらができて初めて「足首が実戦に耐えられる状態」と言えます。
よくある間違い・注意点
Q&A:片脚バランス練習の疑問に答えます

Q1. 毎日やっても大丈夫?

A. はい、大丈夫です。むしろ“短時間 × 高頻度”が効果的です。

Q2. フラつきが強いですが、続けても良い?

A. 問題ありません。そのフラつきこそ、センサーが鍛えられている証拠です。

Q3. 何秒できれば十分?

A. 目標は「30秒 × 2セット」。余裕が出たら目を閉じる・クッションの上で行うなど難易度を上げましょう。

Q4. 子どもや高齢者でもできる?

A. とてもおすすめです。転倒予防、足裏の発達、運動機能向上に役立ちます。
まとめ:片脚バランスは“地味なのに最強”の足首トレーニング
片脚バランス練習は、道具不要・時間不要でありながら、捻挫予防と足首の安定化に絶大な効果があります。
足首を守るために必要なのは、
- 足首のセンサー(固有受容器)
- バランス能力
- 筋力とアーチの支え
これらがすべて同時に鍛えられるのが片脚バランス練習です。
1日30秒だけでもOK。
お風呂の前、歯磨き中、テレビを見ながら——どんな場面でも取り入れられます。
ぜひ今日から「片脚バランス」を習慣にしてみてください。それが未来の捻挫予防・スポーツパフォーマンス向上・健康寿命アップにつながっていきます。
次回は最終回、【第4回:階段・坂道で足首周りを強化編】をお届けします。実戦に近い動作の中で足首を育てていく、実用性の高い内容ですのでぜひお楽しみに。
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