【日常でできる足首トレーニング①】段差カーフレイズ編

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【日常でできる足首トレーニング①】段差カーフレイズ編

今回から、【日常でできる足首トレーニング】として、ご自宅や職場、ちょっとしたスキマ時間で取り組める“足首を強くする習慣”を4回にわたってご紹介していきます。

足首は、私たちの体の中でも「壊れやすいのに、きちんと鍛えればしっかり応えてくれる関節」の代表です(笑)。診察室でも、

昔から足首が弱くて、ちょっとした段差でグネッとしてしまう

部活で捻挫して以来、なんとなく不安定な感じが続いている

一度ひねってから、クセになっている気がする

といったお話を本当によく伺います。

こうした“足首の弱さ”は、生まれつきの問題というよりも、筋力・柔軟性・バランス能力が十分に育っていないことによるものがほとんどです。つまり、正しいトレーニングをコツコツ続けることで、多くの方が「ひねりにくい足首」「踏ん張りのきく足首」に近づいていくことができます。

どのトレーニングも、特別な道具は必要なく、今日から誰でも始められる内容ばかりです。シリーズを通して、“強くてしなやかな足首”を一緒に育てていきましょう!


段差カーフレイズでふくらはぎを徹底強化

シリーズ第1回は、足首トレーニングの王道「段差カーフレイズ」です。捻挫予防・安定性向上・ふくらはぎの引き締めまで、効果の幅が広く、私が診察室でも最もよく指導しているメニューの一つです。

特に、

  • 踏み込んだ瞬間に足首がグラッとする
  • ジャンプの着地でグニャッとひねりそうになる
  • 階段の下りで怖さや不安を感じる

といった方には、まず真っ先に覚えていただきたいトレーニングです。

 なぜ「段差」を使うのか?

カーフレイズ自体は、平らな床の上でも行うことができます。それでもあえて「段差」を使うのには理由があります。

  • かかとをしっかり下げられるため、ふくらはぎとアキレス腱が十分に伸びる
  • 筋肉が“伸びた状態”から縮むことで、より大きな可動域を使って鍛えられる
  • 足首の動きそのものが大きくなり、「関節の柔らかさ」と「筋力」を同時に育てられる

つまり段差カーフレイズは、ストレッチと筋トレが一体になったようなトレーニングなのです。「硬くて弱い足首」を、「柔らかくて強い足首」に変えていくのに、とても相性が良い方法と言えます。

段差カーフレイズで得られる主な効果

  • ふくらはぎ(腓腹筋・ヒラメ筋)の筋力アップ
    体重を支えながら足首を上下させることで、ふくらはぎ全体にしっかりと刺激が入ります。ジャンプやダッシュ、坂道歩行など、負荷の高い動作に耐えられる力が身につきます。
  • 足首のぐらつき改善
    足首の周りの筋肉が強くなることで、内反・外反方向へのブレに強くなり、捻挫の予防につながります。
  • アキレス腱・ふくらはぎの柔軟性向上
    かかとを下げる動作により、アキレス腱がじんわり伸び、固まったふくらはぎの柔軟性が高まります。
  • 足裏アーチのサポート
    足裏のアーチを支える筋肉にも刺激が入り、「土踏まずがつぶれて疲れやすい」という方のサポートにもなります。
  • 血流改善・むくみ対策
    ふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれるほど血流に関わる部分です。動かすことで、足の冷えやむくみの改善も期待できます

 正しいやり方(フォームを丁寧に解説!!)

  1. 安定した段差を準備する
    階段の一段目や、しっかりした踏み台など、ぐらつかない場所を選びます。滑りやすい素材の場合は、靴を履くか、滑り止めマットを敷くと安心です。
  2. 足の前半分を段差に乗せる
    つま先〜母趾球(親指の付け根あたり)がしっかり段差に乗り、かかとは完全に空中に出るようにします。足幅は腰幅程度を目安にしましょう。
  3. 姿勢をまっすぐに整える
    背筋をスッと伸ばし、お腹に軽く力を入れます。バランスが不安な方は、壁や手すりに指先を軽く添えてかまいません。
  4. かかとをゆっくり下げる(約3秒)
    息を吐きながら、かかとをストンと落とさずに“ゆっくり”下ろしていきます。ふくらはぎとアキレス腱がじんわりと伸びる感覚があればOKです。
  5. かかとを持ち上げて、つま先立ちになる(約2秒)
    今度は息を吸いながら、ふくらはぎの力でかかとをグッと持ち上げ、つま先立ちになります。一番高い位置で1秒止まり、ふくらはぎがギュッと収縮しているのを感じましょう。
  6. 10〜15回を1セットとして、2〜3セット
    回数をこなすことよりも、「ゆっくり・丁寧に」を大切にしてください。最初は10回×1セットからでも構いません。

 よくある間違い・注意してほしいポイント

  • バウンドするように上下してしまう
    勢い任せに上下すると、アキレス腱やふくらはぎを痛める原因になります。常に「自分でコントロールしている」感覚を意識しましょう。
  • つま先が外向き・内向きになる
    つま先の向きがずれると、膝や足首にねじれが生じ、負担が偏ります。基本は「正面」を向けること。鏡の前で確認しながら行うのもおすすめです。
  • かかとを下げるときに、強い痛みが出る
    アキレス腱炎やふくらはぎの肉離れの既往がある場合、無理は禁物です。痛みが強い場合は、かかとを下げる範囲を小さくする、段差を低くする、医師に相談するなどの対応を取りましょう。
  • 最初から片脚で行ってしまう
    片脚でのカーフレイズは負荷が高く、フォームも崩れやすくなります。まずは両脚から始め、余裕が出てきてから片脚にチャレンジするのがおすすめです。

 よくある質問(Q&A)

Q1. どのくらいの頻度で行えばいいですか?

 

A. 週に3〜5日を目安に、無理のない範囲で続けていただくのがおすすめです。筋肉痛が強い日は一日休むなど、体の声を聞きながら調整しましょう。

Q2. いつやるのが効果的ですか?

 

A. 朝の準備のあとや、帰宅後など、「一日の中で習慣化しやすい時間」に組み込むのがコツです。スポーツをされる方は、練習後やお風呂上がりに行うと、筋力アップと柔軟性の両方に良い影響が出やすくなります。

Q3. どれくらい続けると変化を感じますか?

A. 個人差はありますが、2〜3週間ほど続けると「階段が少し楽になった」「足が軽く感じる」といった変化を感じる方が多いです。捻挫予防やスポーツパフォーマンスの向上を実感するには、1〜2か月ほどを目安に、コツコツ続けていくことが大切です。

 

 こんな方に特におすすめ

  • 足首の捻挫を何度も繰り返している方
  • バスケットボール・バレーボール・サッカーなど、ジャンプや方向転換の多いスポーツをしている方
  • 階段の下りで不安定さや怖さを感じる方
  • 立ち仕事が多く、ふくらはぎのだるさやむくみが気になる方

 まずは「1日10回」からでOKです

トレーニングと聞くと、「しっかり時間を取って、汗をかくくらい頑張らないと意味がない」と思われる方もいます。しかし、足首を守るために大事なのは、「ちょっとずつ、でもやめないこと」です。

たとえば、

  • 朝、顔を洗ったあとに10回
  • 夜、お風呂上がりに10回

これだけでも、1か月続ければ「ふくらはぎの張り方」「階段の上り下りの感覚」に違いが出てくる方が多いです。最初から完璧を目指さず、「とりあえず今日からやってみる」くらいの気持ちで始めてみてください。

 まとめ:足首を守る「土台づくり」は段差カーフレイズから

段差カーフレイズは、足首を守るための「土台づくり」と言えるトレーニングです。ふくらはぎとアキレス腱を、「柔らかく・強く」育てていくことで、日常生活でもスポーツの場面でも、足首をしっかり支えてくれるようになります。

自宅の階段や職場のちょっとした段差でも行えるので、「毎日10回だけ」「週に3日だけ」でも構いません。まずは一歩を踏み出してみてください。その小さな積み重ねが、数か月後・数年後の足首の状態を大きく変えていきます。

次回の【日常でできる足首トレーニング②】では、足首を下から支える「足裏のアーチ」を育てるタオルギャザーについて、詳しく解説していきます。

 

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