【あなたもやってる⁉】医師が教える「意外な捻挫の原因5選」

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【あなたもやってる⁉】医師が教える「意外な捻挫の原因5選」

「スポーツもしていないのに、足をひねってしまった」
「何度も捻挫を繰り返している」
そんな経験はありませんか?

実は、捻挫はスポーツだけで起こるケガではありません。
日常生活の何気ない習慣や身体の使い方が、知らず知らずのうちに足首のバランスを崩し、捻挫を引き起こしているのです。

整形外科専門医として多くの患者さんを診てきた立場から、今回は科学的根拠(エビデンス)に基づいて、**「意外な捻挫の原因5選」**を徹底解説します。


① 足首が硬すぎる 〜可動域の低下が招く転倒〜

足首の「硬さ」は、捻挫のリスクを高める大きな要因です。
特に、つま先を上に上げる動き(背屈)が制限されている人は注意が必要です。

背屈の動きが20度未満になると、地面の傾斜や段差にうまく対応できず、足首が外側にひねられやすくなります。

エビデンス:

  • Hoch MCら(2015, J Sci Med Sport)によると、背屈可動域が狭い人は捻挫リスクが2.5倍に上昇。

  • Pope Rら(1998, Med Sci Sports Exerc)も、柔軟性の低下が再発性捻挫と関連すると報告。

予防法:
・ふくらはぎ(腓腹筋・ヒラメ筋)のストレッチ
・階段を使った段差ストレッチ(かかとを段の外に出して下げる)
・足首を回す「足首サークル運動」

柔軟性を維持することで、転倒リスクは大幅に下がります。


② 足のアーチが崩れている 〜扁平足・ハイアーチの落とし穴〜

足の裏には「アーチ」と呼ばれる構造があります。
これは、体重を分散し、衝撃を吸収する重要なバランス装置です。

アーチが低くなる「扁平足」では、内側に倒れやすくなり、逆にアーチが高すぎる「ハイアーチ」では衝撃を吸収できず外側へひねりやすくなります。

エビデンス:

  • Hertel Jら(2008, Clin Sports Med)によると、扁平足もハイアーチもともに捻挫リスクを約2倍に高める。

  • Mulligan EPら(2013, Foot Ankle Int)は、後脛骨筋の筋力低下がアーチ崩れと関連することを示した。

チェックポイント:
・靴底の内側がすり減っている
・裸足で立つと土踏まずがほとんどない
・朝よりも夕方の方が足が疲れやすい

予防法:
・後脛骨筋・足底筋群のトレーニング
・自分の足型に合ったインソールの使用
・裸足でのバランス運動(タオルギャザーなど)


③ 視覚・バランス感覚の低下 〜“見えない捻挫”の正体〜

意外に見落とされているのが「視覚とバランス感覚」の問題です。
足首の安定には、筋肉や靭帯だけでなく、“どの位置に足があるかを感じ取る感覚”固有感覚が重要です。

暗い場所で歩いたり、スマホを見ながら歩くと視覚情報が減少し、足の位置感覚が狂って捻挫しやすくなります。

エビデンス:

  • Nashner LMら(1976, Exp Brain Res):視覚を遮ると姿勢の揺れが40%増加

  • Linens SWら(2014, J Athl Train):捻挫経験者では前庭・視覚反応が遅くなる傾向。

予防法:
・夜道ではスマホを見ながら歩かない
・バランスディスクや片足立ちトレーニングで固有感覚を鍛える
・靴の感触をしっかり感じられる“薄底シューズ”も有効


④ 疲労と睡眠不足 〜脳の反応遅延が転倒を招く〜

「疲れている」「寝不足」──この状態では、筋肉の反応だけでなく脳の反応速度も遅くなります。
つまり、体のバランスを崩した時に“支える指令”が遅れてしまうのです。

エビデンス:

  • Milewski MDら(2014, J Pediatr Orthop):睡眠6時間未満の学生アスリートは、外傷リスクが1.7倍

  • Gribble PAら(2016, Sports Med):筋疲労により関節位置感覚が有意に低下。

睡眠不足や長時間の立ち仕事、連日の運動などで疲労が蓄積すると、捻挫の危険は確実に上がります。

予防法:
・1日7時間以上の睡眠
・運動や立ち仕事後のストレッチとマッサージ
・足の疲れを翌日に残さないリカバリー習慣を


⑤ 靴と地面環境の影響 〜都市型捻挫が増えている〜

最近では、スポーツ中よりも「日常生活での捻挫」が増加しています。
その背景にあるのが、靴の選び方と地面環境の変化です。

過剰にクッション性のある靴は、足裏の感覚を鈍らせます。
厚底スニーカーやヒールは重心を不安定にし、バランスを崩しやすくします。

エビデンス:

  • Robbins SEら(1995, Br J Sports Med):クッションの厚い靴は感覚鈍化を招き、転倒リスクを上げる。

  • Blanchette MGら(2011, Gait Posture):厚底靴は足関節モーメント(ねじれの力)を増加させる。

また、アスファルトの段差や微妙な傾斜も“捻挫の温床”。
特に夜間や雨の日は足場が不安定になりやすいため、注意が必要です。

予防法:
・靴底の減り具合を定期的にチェック
・ヒールや厚底は長時間使用を避ける
・地面の状態に合わせて靴を履き替える(通勤靴と運動靴を分ける)


🩺 医師からのメッセージ:「捻挫は“日常のクセ”が原因」

整形外科で診察をしていると、
「ただ歩いていてひねった」
「段差でグキッとなった」
という患者さんが非常に多くいらっしゃいます。

しかし実際は、“たまたま”ではなく、
日常生活の中に再現性のある原因が潜んでいるのです。

捻挫を防ぐには、

  • 柔軟性(関節の動き)

  • 感覚(足裏・バランス)

  • 靴・環境(外的要因)
    この3つを整えることが大切です。


✅ まとめ:意外な捻挫の原因5選

原因 内容 対策
① 足首の硬さ 背屈制限でひねりやすくなる ふくらはぎストレッチ
② アーチ崩れ 扁平足・ハイアーチ インソール+筋トレ
③ 感覚低下 視覚・平衡感覚の衰え 片足立ち訓練
④ 疲労・睡眠不足 脳の反応遅延 睡眠とリカバリー
⑤ 靴と地面 不安定な靴・環境 適切な靴選び

🔍 参考文献

  1. Hoch MC et al. J Sci Med Sport. 2015.

  2. Pope R et al. Med Sci Sports Exerc. 1998.

  3. Hertel J et al. Clin Sports Med. 2008.

  4. Mulligan EP et al. Foot Ankle Int. 2013.

  5. Nashner LM et al. Exp Brain Res. 1976.

  6. Linens SW et al. J Athl Train. 2014.

  7. Milewski MD et al. J Pediatr Orthop. 2014.

  8. Gribble PA et al. Sports Med. 2016.

  9. Robbins SE et al. Br J Sports Med. 1995.

  10. Blanchette MG et al. Gait Posture. 2011.


✨最後に

捻挫は「クセ」と「環境」が作るケガです。
正しい知識と予防で、足首を守りましょう。

痛みが続く・何度もひねる場合は、専門医による診察を受けることが早期回復の近道です。

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