痛くない足首捻挫ほど危険?判断を誤りやすい本当の理由

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痛くない捻挫ほど、判断を誤る理由

こんにちは、さくら通り整形外科クリニックの宇賀治 修平です。
今回は、足首捻挫でとても多い「判断のずれ」についてお話しします。

今日のテーマは一つだけ。
痛みの強さ=重症度ではありません。

このズレがあると、捻挫は「治ったつもり」で進んでしまい、
結果的に回復が遠回りになったり、同じ足首を繰り返し捻ることにつながります。
そして少し意地悪なのが、判断を誤りやすいのは重症っぽい捻挫よりも、
むしろ軽そうに見える(痛みが少ない)捻挫だという点です。


「痛くないから大丈夫」と思ってしまう瞬間

捻挫直後に、こんな状態だと…

  • 少し痛いけど歩ける
  • 腫れもそこまでひどくない
  • 内出血も目立たない
  • 数日で痛みが引いてきた

多くの方がこう思います。
「軽い捻挫だったんだ」

この判断自体が悪いわけではありません。
ただ、足首捻挫では「痛みが軽いほど判断を誤りやすい」という特徴があるため、
少しだけ注意してほしいのです。


痛みは「損傷の大きさ」を正確には教えてくれない

足首捻挫で主に傷つくのは靱帯です。
靱帯は骨や筋肉と違い、痛みの出方が少しあいまいです。

  • 靱帯が傷ついていても、強い痛みが出ないことがある
  • 痛みだけ先に引いて、「治った感じ」が出ることがある
  • 腫れや内出血が目立たず、軽症に見えることもある

つまり、
「あまり痛くない」=「靱帯が無事」ではないということです。

痛みは「いまの炎症」や「刺激」で変動します。
だから痛みだけで判断してしまうと、捻挫の本質(靱帯・関節の安定性)を見落としやすくなります。


痛みが軽いほど、使い続けてしまう

痛みが強いと、人は自然にかばいます。
歩かない、走らない、無理をしない。これは体が守ってくれます。

一方で、痛みが軽いと判断はこうなりがちです。

  • 仕事は普段どおり(立ち仕事・移動もそのまま)
  • 部活・運動も「軽くなら」やってしまう
  • 固定やサポーターを省略する
  • 痛みが引いたら、すぐ復帰する

ここが足首捻挫の難しいところです。

捻挫の初期は、靱帯が「修復を始める初動」の時期です。
そのタイミングで使い続ける判断が重なると、
靱帯は正しい長さ・正しい位置で治りにくくなります。
結果として、足首は「治った」ではなく、ゆるんだ状態で固まりやすい方向へ進んでしまいます。


靱帯修復の初動を逃すと、回復は遠回りになりやすい

靱帯は、一度伸びたり傷ついたりすると、
「時間が経てば元どおり」になりにくい組織です。

初期に判断がずれると、次のような“治り方のズレ”が起きやすくなります。

  • 靱帯がゆるんだまま固まる(安定性が戻りにくい)
  • 足首のグラつきが残る(段差や下りが不安)
  • 違和感が消えない(左右差・引っかかり感)
  • 「何もないところでまた捻りそう」と感じる

ここまでくると、必要なのは「痛みをなだめる」だけではなく、
足首の“制御”を取り戻す(整える)という視点になります。


「痛みが引いた」は、完了のサインとは限らない

捻挫でよくある誤解が、
痛みがなくなった=完治です。

実際には、痛みが引いても次が残っていることがあります。

  • 足首のコントロール(制御力):ブレずに踏めるか
  • 足首のセンサー(固有受容感覚):傾きの変化に反応できるか

「痛みは少ないのに、なんとなく不安」
「左右で感覚が違う」
そんなときは、気のせいではなく、足首が「まだ調整途中」と教えてくれていることがあります。


Q&A:よくある疑問(迷いやすいポイントを整理します)

Q1. 歩けるなら、受診しなくても大丈夫でしょうか?

 

 

A. 歩けること自体は、とても大切な目安の一つです。
ただ、足首は下り坂・段差・片脚で踏ん張る場面で負担が出やすいため、
もし不安を感じる動きがあれば、一度状態を確認しておくと安心材料になります。

 

Q2. 痛みがほとんどないのに、治療は必要ですか?

A. 痛みが少ないのは良いサインでもあります。
一方で、足首では靱帯の状態や、動きの安定感も大切な判断材料になります。
「痛みはないけれど、なんとなく不安」という場合は、確認しておくと今後につながります。

 

Q3. 数日で痛みが引いたら、もう安心して大丈夫ですか?
A. 痛みが落ち着くと、気持ちも少し楽になりますよね。
ただ、足首では痛みが引いたあとに調整が必要なケースもあります。
違和感や左右差が残る場合は、無理せず様子を見直してみてください。

 

Q4. サポーターをしていれば問題ありませんか?

A. サポーターは、足首を守るうえでとても心強い存在です。
ただ、ずっと頼り続けるよりも、少しずつ自分の足首で支えられる状態を目指すことが大切です。
外すタイミングを考えることで、より安心して日常生活を送れます。

 

Q5. 一度捻挫した足首は、もう繰り返しやすいですか?

A. 適切に整えていけば、必要以上に心配することはありません。
大切なのは、痛みが引いたあとに「どう整えるか」です。
そこを丁寧に行うことで、再発は十分防げます。

 

Q6. 忙しくて通院できない場合はどうすればいいですか?

A. 忙しい中で判断するのは大変ですよね。
そんなときこそ、今の状態を一度確認しておくだけでも安心材料になります。
必要なこと・今はしなくていいことを整理するための受診、という考え方もあります。

自己チェック:いまの足首は「使える状態」?

ここは“テスト”ではありません。
判断の材料を増やすためのチェックです。
できる範囲で大丈夫。無理はしないでください。

  • :問題なくできる
  • :できるが不安・左右差がある
  • ×:痛い/怖い/できない
  • ① 片脚立ち 10秒(左右)
    ふらつき・怖さ・足首のグラつきはありませんか?
  • ② その場でつま先立ち 10回
    途中で足首が不安定になったり、左右差はありませんか?
  • ③ ゆっくりしゃがむ(浅めでOK)
    足首の引っかかり感や、どちらかに体重を逃がす感じはありませんか?
  • ④ 階段を「下りる」動きだけ意識して1往復
    下りで怖い、足首がぐらっとする、踏ん張れない感じはありませんか?
  • ⑤ いつもの歩幅で5分歩く想像をしてみる
    「最後まで不安なく歩けそう」か、「途中でかばいそう」か、感覚を確認します。
  • △が1つでもあれば:「痛みは少なくても調整途中」のサインかもしれません。
  • ×が1つでもあれば:無理に進めず、いったん立ち止まって状態を確認するのがおすすめです。


まとめ:痛みより「判断」が、その後を決める

今回の伝えたい核は一つだけです。

  • 痛みの強さ=重症度ではない

痛みが軽いほど、日常を続けやすく、初動(修復のスタート)を逃しやすくなります。
だからこそ、痛みだけで判断しないことが大切です。


ここからが大事:読んだあとに「残してほしい行動」

このページを読んで、気持ちが少し落ち着くのは良いことです。
ただ、足首捻挫は落ち着いたあとに判断が甘くなりやすいので、最後にお願いがあります。

今日のうちに、次のどれか1つだけやってください。

  • ① さきほどの「自己チェック」を一度だけやる
    できれば左右差(○△×)をメモします。
  • ② 下り(階段・坂道)で不安があるか確認する
    不安があるなら、今は「まだ整え途中」という判断ができます。
  • ③ “復帰の基準”を決める
    「痛みが引いたら」ではなく、「左右差がなくなったら」を目安にします。

少しだけ厳しそうに見えるかもしれませんが、これは怖がらせるためではありません。
遠回りを避けるための、やさしいブレーキです。
足首は、丁寧に整えればちゃんと応えてくれます。

 

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