捻挫は“時間が経てば治る”わけではない

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捻挫は「時間が経てば治る」わけではない

こんにちは、さくら通り整形外科クリニックの宇賀治 修平です。

足首を捻ったあと、こんなふうに思ったことはありませんか。

「今は少し違和感があるけど、そのうち良くなるだろう」
「時間が経てば、自然と元に戻るはず」

実はこの考え方は、とても多くの方が自然に選んでいる判断です。
そして同時に、捻挫が長引いてしまう方に共通して見られる判断でもあります。

今回お伝えしたいのは、シンプルで大切なことです。


時間が経つことと、正しく回復することは同じではない。

捻挫は「時間が薬になるケガ」ではありません。
時間の使い方によって、治り方が決まるケガです。


なぜ「時間が経てば治る」と思ってしまうのか

私たちは日常生活の中で、
「時間が解決してくれた経験」を何度も重ねてきています。

  • 軽い打撲が数日で気にならなくなった
  • 久しぶりの運動による筋肉痛が、1週間ほどで消えた
  • 疲れが溜まっていたけれど、しっかり寝たら回復した

こうした体験は、誰にでも思い当たるのではないでしょうか。

このような経験が積み重なることで、私たちの中には自然と、
「痛みや違和感は、時間が経てば落ち着くもの」
「今はつらくても、少し待てば解決する」
という考え方が根づいていきます。

これは決して間違いではありません。
むしろ、これまでの経験に基づいたとても合理的な判断です。

足首捻挫も、この延長線上で捉えられやすいケガです。
見た目の腫れが落ち着いてきたり、歩けてしまったり、日常生活が普通に送れてしまうと、
「まだ途中なだけ」「もう少し時間が経てば良くなるだろう」
と感じるのは、ごく自然なことです。

特に、仕事や家事、学校を休まずに済んでいる場合、
「大きな問題ではなさそうだ」という判断はさらに強くなります。

ここで大切なのは、
この判断そのものが間違っているわけではないということです。

ただ、足首捻挫には、他の軽いケガや疲労とは違う性質があります。
それが、
時間が経つことと、正しく回復することが一致しない場合がある
という点です。


捻挫は「組織が元に戻るだけ」のケガではない

捻挫というと、
「炎症が起きて、それが引けば治る」
そんなイメージを持たれがちです。

しかし、足首捻挫ではそれだけではありません。

捻挫が起きた瞬間、足首の中では次のような変化が同時に起きています。

  • 靱帯が伸びたり、部分的に傷ついたりする
  • 関節の位置関係が一時的にズレる
  • 脳と足首の動きの連携が乱れる(=いつもの動かし方が乱れる)

これらは、時間が経てば自動的に「元の正しい状態」に戻るとは限りません。

体には、
「今使われている状態を正解として覚えていく」
という性質があります。

つまり回復とは、単に「元に戻る」というより、
正しい状態を、もう一度学び直す
という側面を持っているのです。


放置期間に、体は何を学習しているのか

捻挫後、違和感を抱えたまま生活を続けている期間。
この時間は、何も起きていない時間ではありません。

体の中では、静かに学習が進んでいます。たとえば、

  • ズレた関節位置での立ち方・歩き方
  • 不安定さを補うための力の入れ方
  • 無意識に避ける動き、使わなくなる角度

これは「サボっている」「怠けている」という話ではありません。
今できる方法で生活を成り立たせようとしている、体の自然な工夫です。

ただ、この期間が長くなると、
「本来の動き」ではなく「かばった動き」「補った動き」が体に定着していきます。

つまり放置期間とは、
不完全な治り方が固定されていく期間
にもなり得るのです。


痛みが減る=治った、ではない

時間が経つと、多くの場合、痛みは少しずつ軽くなります。
この変化はとても安心できますし、良い兆候でもあります。

ただ、ここで一度だけ立ち止まって考えてみてください。

痛みは、体からの「危険信号」です。
時間が経てば、その信号は弱くなります。

一方で、

  • 関節のズレ
  • 動きの偏り
  • 安定感の低下

こうした要素は、痛みが減っても残り続けることがあります。

その結果、
「痛くないのに、なぜか不安定」
「治ったと思って動いたら、また捻った」
という状態につながることがあります。


Q&A:時間と回復について、よくある疑問

Q1. 何もしなくても、時間が経てば自然に治りませんか?
A. 自然に落ち着くケースもあります。
ただ足首捻挫は「動きの質」や「安定感」が戻らないまま落ち着くこともあります。
時間だけで判断しないことが大切です。

 

Q2. 痛みがほとんどないなら、もう大丈夫ですか?

A. 痛みが少ないのは良い兆候です。
ただ「痛み」だけで回復を決めるより、安定感や動きもあわせて確認すると安心です。

 

Q3. 忙しくて通院できない場合はどうすれば?

A. すぐ通院できなくても、「今の状態を把握する」ことはできます。
まずは自己チェックで判断材料を増やし、放置が長引かないようにすることが大切です。

 

Q4. どれくらい経ったら診てもらうべきですか?

A. 目安は「日数」より「違和感が残っているかどうか」です。
時間が経っても安定感が戻らない場合は、一度状態を整理しておくと安心です。

 

Q5. 数か月前の捻挫でも、今から整えられますか?

A. はい、可能です。
ただ放置期間が長いほど、体がクセを覚えていることが多いので、整えるのに時間がかかる傾向があります。

自己チェック:今の状態を確認する

時間が経った今、腫れや見た目よりも、動きと感覚を確認してみましょう。
無理のない範囲で大丈夫です。

  • :問題なくできる
  • :左右差・違和感がある
  • ×:不安・怖さ・できない
  • ① 片脚立ちを10秒保てるか
  • ② 段差や下りで不安を感じないか
  • ③ 方向転換で足首が遅れないか
  • ④ 無意識にかばっている感覚が残っていないか
  • △がある → 回復途中のサイン
  • ×がある → 判断を見直すサイン

まとめ:放置期間=不良な治り方が固定される期間

時間が経つこと自体が、回復を保証するわけではありません。

放置した時間は、
そのまま「治りにくさ」や「再発しやすさ」として残ることがあります。

時間=回復ではない。時間+正しい方向づけ=回復。

読んだあとに、ひとつだけ残してほしいこと

このブログは、
「今までの判断を責める」ためのものではありません。

ただ、こう考えてみてください。

  • この時間は、回復のために使われているか
  • それとも、ズレやクセを固定する時間になっていないか

今日できることは、ひとつで十分です。

  • 違和感を「まだ途中」と捉え直す
  • 自己チェックを一度だけやってみる
  • 判断材料を増やす行動を選ぶ

放置した時間は、あとから取り戻しにくいことがあります。
だからこそ、今日からの時間の使い方が、これからの回復を左右します。


動画でも解説!

足首捻挫を放置してはいけないについて、動画でも解説しています。
文章とは違った視点で理解しやすくなっていますので、ぜひご覧ください。


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