捻挫は「時間が経てば治る」わけではない
こんにちは、さくら通り整形外科クリニックの宇賀治 修平です。
足首を捻ったあと、こんなふうに思ったことはありませんか。
「今は少し違和感があるけど、そのうち良くなるだろう」
「時間が経てば、自然と元に戻るはず」
実はこの考え方は、とても多くの方が自然に選んでいる判断です。
そして同時に、捻挫が長引いてしまう方に共通して見られる判断でもあります。
今回お伝えしたいのは、シンプルで大切なことです。

捻挫は「時間が薬になるケガ」ではありません。
時間の使い方によって、治り方が決まるケガです。
なぜ「時間が経てば治る」と思ってしまうのか
私たちは日常生活の中で、
「時間が解決してくれた経験」を何度も重ねてきています。
こうした体験は、誰にでも思い当たるのではないでしょうか。
このような経験が積み重なることで、私たちの中には自然と、
「痛みや違和感は、時間が経てば落ち着くもの」
「今はつらくても、少し待てば解決する」
という考え方が根づいていきます。
これは決して間違いではありません。
むしろ、これまでの経験に基づいたとても合理的な判断です。
足首捻挫も、この延長線上で捉えられやすいケガです。
見た目の腫れが落ち着いてきたり、歩けてしまったり、日常生活が普通に送れてしまうと、
「まだ途中なだけ」「もう少し時間が経てば良くなるだろう」
と感じるのは、ごく自然なことです。
特に、仕事や家事、学校を休まずに済んでいる場合、
「大きな問題ではなさそうだ」という判断はさらに強くなります。
ここで大切なのは、
この判断そのものが間違っているわけではないということです。
ただ、足首捻挫には、他の軽いケガや疲労とは違う性質があります。
それが、
時間が経つことと、正しく回復することが一致しない場合がある
という点です。
捻挫は「組織が元に戻るだけ」のケガではない

捻挫というと、
「炎症が起きて、それが引けば治る」
そんなイメージを持たれがちです。
しかし、足首捻挫ではそれだけではありません。
捻挫が起きた瞬間、足首の中では次のような変化が同時に起きています。
これらは、時間が経てば自動的に「元の正しい状態」に戻るとは限りません。
体には、
「今使われている状態を正解として覚えていく」
という性質があります。
つまり回復とは、単に「元に戻る」というより、
正しい状態を、もう一度学び直す
という側面を持っているのです。
放置期間に、体は何を学習しているのか
捻挫後、違和感を抱えたまま生活を続けている期間。
この時間は、何も起きていない時間ではありません。
体の中では、静かに学習が進んでいます。たとえば、
これは「サボっている」「怠けている」という話ではありません。
今できる方法で生活を成り立たせようとしている、体の自然な工夫です。
ただ、この期間が長くなると、
「本来の動き」ではなく「かばった動き」「補った動き」が体に定着していきます。
つまり放置期間とは、
不完全な治り方が固定されていく期間
にもなり得るのです。
痛みが減る=治った、ではない

時間が経つと、多くの場合、痛みは少しずつ軽くなります。
この変化はとても安心できますし、良い兆候でもあります。
ただ、ここで一度だけ立ち止まって考えてみてください。
痛みは、体からの「危険信号」です。
時間が経てば、その信号は弱くなります。
一方で、
こうした要素は、痛みが減っても残り続けることがあります。
その結果、
「痛くないのに、なぜか不安定」
「治ったと思って動いたら、また捻った」
という状態につながることがあります。
Q&A:時間と回復について、よくある疑問


ただ足首捻挫は「動きの質」や「安定感」が戻らないまま落ち着くこともあります。
時間だけで判断しないことが大切です。

Q2. 痛みがほとんどないなら、もう大丈夫ですか?

ただ「痛み」だけで回復を決めるより、安定感や動きもあわせて確認すると安心です。

Q3. 忙しくて通院できない場合はどうすれば?

まずは自己チェックで判断材料を増やし、放置が長引かないようにすることが大切です。

Q4. どれくらい経ったら診てもらうべきですか?

時間が経っても安定感が戻らない場合は、一度状態を整理しておくと安心です。

Q5. 数か月前の捻挫でも、今から整えられますか?

ただ放置期間が長いほど、体がクセを覚えていることが多いので、整えるのに時間がかかる傾向があります。
自己チェック:今の状態を確認する
時間が経った今、腫れや見た目よりも、動きと感覚を確認してみましょう。
無理のない範囲で大丈夫です。
まとめ:放置期間=不良な治り方が固定される期間
時間が経つこと自体が、回復を保証するわけではありません。
放置した時間は、
そのまま「治りにくさ」や「再発しやすさ」として残ることがあります。
読んだあとに、ひとつだけ残してほしいこと
このブログは、
「今までの判断を責める」ためのものではありません。
ただ、こう考えてみてください。
今日できることは、ひとつで十分です。
放置した時間は、あとから取り戻しにくいことがあります。
だからこそ、今日からの時間の使い方が、これからの回復を左右します。




