【日常でできる足首トレーニング④】階段・坂道トレーニング編

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【日常でできる足首トレーニング④】階段・坂道トレーニング編

こんにちは、さくら通り整形外科クリニックの宇賀治 修平です。

全4回シリーズでお届けしてきた「日常でできる足首トレーニング」も、いよいよ今回が最終回となりました。

これまで、

  • ① 段差カーフレイズ:足首の土台となるふくらはぎを鍛える
  • ② タオルギャザー:足裏アーチを“育てる”
  • ③ 片脚バランス練習:足首のセンサー(固有受容器)を鍛える

と、足首を守るための準備をしっかり整えてきました。

最終回となる第4回は、これらの土台を“実際の動作”の中で使えるようにするためのトレーニング、「階段・坂道トレーニング」について詳しくお話しします。

 階段・坂道トレーニングは「実戦で強い足首」を作る

段差・坂道というのは、日常生活でもスポーツでも必ず出てくる「負荷が変化する場面」です。

例えば、

  • 通勤の階段
  • 駅のホームへ向かうスロープ
  • 学校や職場の階段
  • 散歩中のちょっとした坂道

こうした環境では、足首にかかる負荷が平地とはまったく違ってくるため、足首の筋力・柔軟性・センサー機能を総動員して動く必要があります。

だからこそ、階段や坂道を使ったトレーニングは、足首を“実戦レベルで鍛える”のに最適なのです。

とくに、

  • 捻挫を繰り返している方
  • スポーツ復帰を目指している方
  • 下り坂や階段の下りが怖い方

にとって、非常に重要なステップとなります。

 なぜ階段・坂道は足首に良いのか?

階段や坂道の特徴は、「重心変化」と「負荷変化」が大きいことです。この“変化”こそが、足首の総合力を引き上げてくれる理由です。

 足首の可動域を大きく使う

階段では、足首が通常よりも深く曲がり(背屈)、しっかり伸びる(底屈)動きが必要になります。これは、段差カーフレイズの応用であり、日常の中で自然と柔軟性が鍛えられます。

 前脛骨筋とふくらはぎをセットで使う

上りではふくらはぎ、下りでは前脛骨筋(すねの筋肉)が強く働きます。これによって、足首を上下両方向から支える力が育ち、「踏ん張り力」が大きく向上します。

 足首のセンサー(固有受容器)が活性化

階段や坂道は平地と違い、足の傾きが常に変化するため、センサーが総動員されます。これは第3回で習った片脚バランス練習の“実戦版”です。

 着地衝撃に強くなる

特に“下り”は足首にかかる負荷が大きく、コントロールが難しい場面です。このタイミングで足首が安定していると、捻挫のリスクが大きく下がります。

 足首だけでなく、全身の連動が鍛えられる

階段・坂道では、

  • 足裏のアーチ
  • ふくらはぎ
  • すね
  • 太もも
  • お尻
  • 体幹の安定性(腹横筋)

が同時に働くため、身体全体が連動して動く能力が高まります。


正しい階段・坂道トレーニングのやり方

階段の「上り」

  1. 姿勢をまっすぐにする
    背中が丸まると力が逃げるため、胸を軽く張って立ちます。
  2. 足裏全体で踏み込む
    つま先だけに体重を乗せず、足裏全体で階段を押すイメージを持ちます。
  3. かかとを浮かせすぎない
    ふくらはぎに効きすぎて疲れやすくなります。自然に押し上げられる感覚が理想です。
  4. 2〜3段をゆっくり上る × 5〜10回
    「早く」より「丁寧に」がポイントです。

 階段の「下り」

下りのほうが捻挫リスクは高いため、特に丁寧に行う必要があります。

  1. 足裏全体で着く(つま先着地は禁止)
    前傾しすぎず、かかとを意識して着地します。
  2. 膝を軽く曲げ、衝撃を吸収する
    すねの筋肉(前脛骨筋)が強く働き、足首の安定に関わる重要な動作です。
  3. 1段ずつゆっくり降りる
    速度は気にせず、「足首がブレないこと」を最優先にします。
  4. 5段分 × 5往復
    無理のない範囲から始めてください。

坂道のトレーニング

上り坂

  • 自然と足首が背屈し、ふくらはぎ・前脛骨筋が鍛えられる
  • お尻の筋肉も強く働き、姿勢改善にも効果的

下り坂

  • 足首が不安定になりやすい重要な場面
  • 「踏ん張る力」が大幅に鍛えられる
  • 捻挫しやすい人ほど下り坂の練習は必須

特に下り坂では、足裏アーチとすねの筋肉がフル稼働するため、非常に実用性の高いトレーニングです。


 階段・坂道トレーニングの「ポイント」まとめ

  • とにかく“ゆっくり”行う → 足首のコントロール力が育つ
  • 足裏全体で着地する → アーチが働き、安定性が増す
  • 膝が内側に入らないよう注意 → ケガ予防に重要
  • 疲れすぎる前に終了する → フォームが崩れると逆効果

スポーツ選手に必須の「応用編」

スポーツ現場では、階段や坂道の動きに近い「加速・減速の連続」が求められます。そこで、応用編として以下のメニューもおすすめです。

 階段 “スキップ上り”

  • リズム良く「上り→上り→スキップ」で進む
  • 瞬発力・バランス力が同時に鍛えられる

 坂道ダッシュ(軽め)

  • 10〜15mを自然なスピードで
  • 足首の安定が欠けると走れないため、実戦性が非常に高い

下り坂での“減速トレーニング”

  • やや大股で歩き、体が前に流れないようにブレーキをかける
  • すねの筋肉が大きく鍛えられる

 よくある間違いと注意点

  • 階段を速く上りすぎる → ふくらはぎが硬くなり逆効果
  • 下りで前傾しすぎる → 足首が不安定になり捻挫リスク増
  • つま先立ちで上り続ける → アキレス腱に負担大
  • 疲れてから無理に続ける → 膝・足首を痛めやすい

 Q&A:階段・坂道トレーニングの疑問にお答えします

Q1. 毎日やって大丈夫?

A. はい!ただし疲労が強い日は休んでくださいね。

 

 

Q2. 階段の上りと下り、どちらが大事?

A. 捻挫予防に最も大事なのは「下り」です。

 

 

Q3. 痛みがある時は?

A. 無理に行わず、まずは平地でのバランス練習に戻りましょう。

 

 

Q. 子どもや高齢者でもできますか?

A. とてもおすすめです。特に転倒予防には非常に効果的です。

 


まとめ:階段・坂道は“足首を鍛える最高の日常ジム”

階段・坂道は、特別な道具も場所も必要ありません。むしろ、日常生活の中で自然に取り入れられる「最高の足首トレーニング環境」です。

今回ご紹介したトレーニングは、

  • 足首の柔軟性アップ
  • ふくらはぎ・すねの総合強化
  • 足裏アーチの活性化
  • 足首のセンサーを実戦で働かせる
  • 捻挫の再発予防

といった、足首に必要な要素がすべて詰まっています。

段差カーフレイズ、タオルギャザー、片脚バランスと続けてきた成果を、いよいよ“実戦の動き”で活かすタイミングです。

階段や坂道を見かけたら、「ちょっと練習してみようかな」と軽い気持ちで、ぜひ取り組んでみてください。

シリーズ全4回、ここまで読んでくださり本当にありがとうございました。
この内容が、みなさんの足首を守り、より健康に、より安全に過ごすための一助となれば幸いです。

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