【日常でできる足首トレーニング②】タオルギャザー編
前回の「段差カーフレイズ編」では、“足首を支える土台=ふくらはぎの筋力”を鍛える方法をご紹介しました。今回の第2回では、足首を守るうえで欠かせないもう1つの要素、つまり「足裏のアーチ」を鍛えるトレーニングについて詳しくお伝えします。
足首が弱い方、捻挫を繰り返す方、歩くと足首が疲れやすい方——こうした悩みを抱える多くの患者さんに共通しているのが、“足裏アーチの筋力不足”です。
足裏のアーチは、ただの形ではありません。衝撃を吸収し、身体のバランスを整え、足首や膝にかかる負担を軽くしてくれる重要なクッション機能を担っています。
このアーチが弱ると、足首がグラつきやすくなり、捻挫が癖になりやすくなる——という負のループに陥ってしまいます。
そこで有効なのが、今回ご紹介する「タオルギャザー」です。自宅でも職場でも、椅子とタオルさえあればできるトレーニングです。
足裏トレーニングの中心「タオルギャザー」とは?
タオルギャザーとは、床に置いたタオルを足の指(特に親指)で手繰り寄せる運動です。
いわば、手の「つまむ動き」を足で行うイメージです。普段意識して使わない筋肉をしっかり動かすため、最初は「つりそう…」「うまくたぐれない…」と感じる方も多いですが、それこそが効いている証拠。
繰り返すうちに足裏が温まり、しっかり筋肉が“目覚めてくる”のを感じるはずです。

タオルギャザーで鍛えられるのはどこ?
この運動で主に刺激されるのは、足裏の“深層筋(インナーマッスル)”です。
- 母趾外転筋(ぼしがいてんきん):親指を開く力を支える筋肉
- 短母趾屈筋(たんぼしくっきん):親指を曲げる筋肉
- 虫様筋(ちゅうようきん)・足内在筋など:足指を細かく動かす筋肉群
これらの筋は、歩行・方向転換・ジャンプ着地など、日常生活からスポーツまで幅広い動きで重要な役割を果たします。
特に「足裏アーチ」が弱くなると、以下のような症状が出やすくなります。
タオルギャザーはこれらの症状の改善にも役立つ、とても汎用性の高いトレーニングなのです。
タオルギャザーの正しいやり方(丁寧解説)

- 椅子に座り、かかとをタオルの“手前端”に置く
背筋は軽く伸ばし、力みは不要です。
- 足指でタオルをつかむように動かす
親指と2・3・4・5趾をしっかり使って、「握る→離す」を繰り返します。
- タオルを全て手繰り寄せるまで続ける
足指をできるだけ“根元から動かす”意識を持つのがポイントです。
- 左右10〜15回 × 1〜2セット
疲労感が強い場合は、まず数回から始めてもOK。
さらに効果を上げるコツ
- タオルを二つ折りにして厚みを増やすと負荷アップ
- ペットボトルなど軽い重りをタオルの先に乗せると中級者向け
- お風呂上がりに行うと筋肉が動きやすい
- 足の“つかむ力”を意識しすぎず、リズムよく行う
「つりそう…」という感覚が出る場合は、疲労が強いサインなので一度休みながら行ってください。
タオルギャザーで得られる効果をもっと詳しく
① 足裏アーチの形成・保持
足裏のアーチは、建物でいえば“基礎”の部分に当たります。ここが弱いと、身体の柱である足首・膝・骨盤が不安定になります。
タオルギャザーは、このアーチ構造の“柱”を鍛えるため、捻挫予防だけでなく、外反母趾の予防、扁平足対策、着地衝撃の吸収力アップにも役立ちます。

② 足首の安定性が向上
足首は靭帯だけで支えられているわけではありません。足裏からふくらはぎまで連動する筋肉が揃って働くことで、初めて安定します。
足裏が弱い方は、足首の左右ブレをコントロールできないため、
などの悩みが出やすいです。
タオルギャザーによって足裏からの“インナーの安定性”が高まり、足首を外側から守る力がついていきます。
③ 歩行が軽くなる
患者さんからよく聞くのが、

タオルギャザーを続けていたら、歩くのが軽くなった気がする!!
という声です。
これは、足裏アーチが復活すると足の接地が安定し、地面からの反発力を効率よく使えるようになるためです。いわば、歩くたびに“足が前に進む手助け”が働くようになります。
④ スポーツ動作が安定する
ジャンプ・着地・方向転換など、足裏の微妙なバランス調整が必要な動きに強くなります。
特に、
- バスケットボール
- バレーボール
- サッカー
- テニス
- ランニング
といった競技者には、タオルギャザーは必須級のトレーニングです。足裏の力が弱いままスポーツをすると、パフォーマンス低下やケガのリスクが大きくなります。
よくある間違いと注意点
よくある質問(Q&A)

Q1. 毎日やっても大丈夫ですか?

A. はい、問題ありません。むしろ短時間でできるため、習慣化しやすいトレーニングです。

Q2. 片方だけ弱い感じがします。左右差は問題?

A. 足裏アーチには左右差がある方が多く、弱い側を重点的に行うのは非常に有効です。

Q3. 子どもでもやって大丈夫?

A. もちろん大丈夫です。姿勢づくりや運動神経の発達にも効果的です。
まとめ:足裏を育てれば足首はもっと強くなる
足裏の筋肉は、目で見えないだけに意識されにくい部分です。しかし、ここを育てることは、捻挫予防において非常に重要です。
タオルギャザーは、
といった多くのメリットが得られる、シンプルながら奥の深いトレーニングです。
まずは「毎日5回」からでも構いません。習慣として続けることで、確実に変化が出てきます。
次回は【第3回:片脚バランス練習編】として、“足首のセンサー”とも呼ばれる固有受容器を鍛える方法をご紹介します。こちらも捻挫予防には欠かせない大切なトレーニングです。



